一緒に暮らしていた女性を叩き出してから、悪いことばかりが起こり、どうにもやることなすことがついていない気がして眠れない一人の男がいる。

 

その男は叩き出したその直後、泣いた。泣くぐらいだったら最初からそんなことするなよ、とは結果論。だから”不覚にも”涙があふれた。

 

 

さらにその男は叩き出してからというもの、何をするにも気持ちが燃えずにイライラしている。

 

健康度外視、ヘビースモーカーでチェーンスモーキングを信条とする男の周りに立ち込める煙草の煙もモヤモヤしている。

 

自分で叩き出しておいて、その後、別の女性に声をかけようと思っても、叩き出した女性に悪いと思っている。

 

女性のお陰で、女性と一緒に過ごした日々のすべてがあったからこそ、男は初めて自分自身に気づき、大人になれたと感謝している。

 

どちらかと言えば軽い、お調子者のイメージが伝わるその男、実はとても真面目でウェットなその男は、松山千春が作った「あの日」という歌の世界の中に1992年9月以来ずっといる。

 

ついていないことが続いて、今も眠れないでいる。まだ女性は戻って来ていないようだ。

 

 

1992年9月にリリースされたアルバム『挫折』に収録されている「あの日」

 

 

松山千春全楽曲の中で見れば地味な存在なのかもしれない。ブログで繋がっている千春ファンのみなさんの中でも支持する人が多い気がしている「あの日の僕ら」ではなく、「の僕ら」が付かない「あの日」

 

どこがどうということではない。決して名曲、佳曲と言い換えるほどではないけれど、リリース以来、私の感覚にマッチした大好きな一曲。

 

この稿を書きながら、明日弾き語りで歌ってみたくなった。