さだまさしが4月15日に「〜まさしと道彦の部屋〜 電気代を稼ぐコンサート LIGHT FOR ARTS!!」を東京藝術大学奏楽堂にて開催した。

 

 

さだまさしは東京藝術大学の客員教授を務めている。このコンサートに関して、毎日新聞のコラム「余録」が取り上げていた(以下青字)。

 

余録:東京芸術大学の前身… 2023年4月29日 毎日新聞
 東京芸術大学の前身、東京音楽学校は1887(明治20)年に設立された。運営のため国が投じた予算は少額だったが、それでも出費への批判から開校後ほどなく存廃論議が帝国議会で起きた。結局、議員による学校参観が行われ、存続が決まった(「明治音楽史考」、遠藤宏著)▲戦後、もうひとつの前身である東京美術学校と統合して以来、多くの人材を輩出してきた東京芸大である。だが、その台所事情が厳しさを増している。電気料金高騰などが財政を圧迫しているためだ▲同大によると2022年度、2億円を超す予定外の支出が見込まれるという。経費削減を迫られた大学は維持費節約のため、一部の練習用ピアノを売却した。同大客員教授で窮状を知った歌手、さだまさしさんらによる「電気代を稼ぐコンサート」が今月、開催された。文字通り収益は「電気代」にあてる▲構造的な要因もある。同大には国から年間約50億円の運営費交付金が配分されているが、研究体制の拡充はおぼつかない。このため19年度から、学部の学費を国立大の標準額より2割、引き上げた▲むろん、厳しい運営の状況は東京芸大に限った話ではあるまい。国立大学が法人化されて以降、政府は交付金の減額を進めてきた▲大学に「自助」を迫り続けてきたひずみが拡大したり、国の理系重視の陰で人文・芸術系教育の位置づけが後退したりしてはいないか。明治から時を経て、ぜひ政治家にも足を運び耳を傾けてもらいたい、芸術学府の財政事情だ。

 

国立大学法人に対する国からの運営交付金の経年減額は、日常的な大学の運営費を圧迫するだけでなく、5月23日の朝日新聞でも取り上げられていた、有期雇用が10年を超えるという理由で研究者が解雇されるという「雇い止め」を生む理由のひとつにも挙げられるだろう。

 

 

 

 

 

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光熱費高騰で東京芸大が「電気代を稼ぐコンサート」開催へ さだまさしさん、箭内道彦さんが企画  2023/3/24 13:00 産経新聞(本江 希望)

 

 

 

(記事冒頭部分抜粋)

 

 電気代など光熱費の高騰が続くなか、東京芸術大学が「電気代を稼ぐコンサート」を4月15日に開催する。同大客員教授で歌手のさだまさしさん、教授のクリエーティブディレクター、箭内道彦さんが企画したもので、収益は電気代に充当される。同大は日本最高峰の芸術大として知られるが、光熱費の高騰などで財政難に直面。先月には経費削減のため練習室のピアノを一部撤去したことが議論を呼んだ。箭内さんは産経新聞の取材にコメントを寄せ、「学生たちが安心して学ぶ場を維持できるきっかけになることができたら」と意気込んだ。

コンサート名はさださんが考案


 コンサートのタイトルは、「〜まさしと道彦の部屋〜 電気代を稼ぐコンサート LIGHT FOR ARTS!!」。一般公開の特別講座として、東京芸大の奏楽堂(東京都台東区)で開かれる。さださんは同大社会連携センター客員教授、箭内さんは美術学部デザイン科教授を務めており、コンサートの企画、プロデュースを担当。2人のほかに、前学長でバイオリニストの澤和樹さん、落語家の立川談春さん、美術学部デザイン科「映像論」講師でヒップホップグループ、RHYMESTER の Mummy-D さん、シンガーソングライターで、さださんとフォークデュオ「グレープ」を組む吉田政美さんらがスペシャルゲストとして参加する。
 「電気代を稼ぐコンサート」という公演名はさださんが考え、箭内さんが賛同して決まった。必要経費を差し引いた収益の数百万円を電気代に充当する計画だ。