(2023.5.20 22:00一部加筆)

 

 

「松山千春コンサート・ツアー2023春」、参加した5月19日、東京国際フォーラム。

 

アンコール途中のトークで、自身が患っている糖尿病の合併症について語り、「今、もう右目が見えないんだ」と告白した。医学的なことは詳しくはわからないが、病名を付ければ三大合併症のひとつ「糖尿病網膜症」ということになるのか?

 

その話しを聞いて大変驚いたし、ショックだった。当然その場で眠っちゃいないけど、松山千春の告白を聞いて、爆音にたたき起こされたような衝撃だった。

 

どう書けばいいのか、キーボードを打つ手がいまひとつ進まない。5月20日一日、そのことばかりを考え、気持ちが落ち込んで元気が出ない。

 

3年前の6月、自身のラジオ番組の中で、「歯が調子悪いので、前歯8本抜いてインプラントにした」と言っていた。この時も本当に驚いた。

 

糖尿病の合併症のひとつに歯周病があり、それが歯を失う一番の原因。さらに、タバコを吸うことにより血行不良や免疫機能不全の状態となり歯周病が重症化するという。

 

このインプラントも合併症の影響だったのかな?といまさらながら思った。自分の思いの至らなさが情けない。

 

病身の中にも、とにかく元気で、一日でも長く歌っていて欲しいと思った。

 

あふれる日ざしに ゆれる花も

今の私に すべてが見える

(松山千春「大いなる愛よ夢よ」)

 

松山千春―「大いなる愛よ夢よ」(1982年/LIVE)

 

その松山千春の告白を聞いていて、ある方のお話しを思い出した。初めて聞いた2018年と、再会した2021年の話しだが、以下に。

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(2021年4月28日)

 

今日(2021年4月28日)、下(2018年11月17日)に書いたある団体の役員の方と久しぶりにお会いした。

 

その方に伝えた。

 

「あの時(2018年)お話ししてくださった内容は今でも鮮明に覚えています。あの日の夜、お話しの内容をまとめて記録してあります」

 

「いやいや、恐縮です。それほどのことではないですよ。でも改めて思い出しても、脳腫瘍と言われた時には、これで俺の人生は終わった、と思いましたよ。一番働き盛り、頑張っている最中でしたから。でもね、今はあの大病があったからこそ、今の自分があると思えるんですよ。全部ここに繋がっていたんだな、と思うんです」

 

人生の大先輩の言葉にまた感動し、感謝の言葉を伝えて別れた。
 

「誰もが 皆 自分の人生と闘っている」「君のその人生を受け入れて楽しむ他ない」―改めて、そうだなと心から思った。

 

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(2018年11月17日)

 

先日、ある団体の役員の方とお会いし、少々お話しする時間があった。

 

「虹野さん、私のこの左目は失明してるんですよ」

 

今から10年前、55歳の時突然職場で倒れ救急車で運ばれた。

 

頭の左側に拳大の脳腫瘍。何の前兆もなかった。11時間に及ぶ開頭、摘出手術。手術の途中で左目が失明した。

 

命は取り止めた。療養生活のため、職場も変わった。

人生で一番働ける、やり甲斐のある時。充実していた時。一見、全部失った。

 

「なぜ、俺はこんな目に遭うんだ」

 

と暗闇の中にひとりだけ突き落とされた気持ちだった。何もする気が起きない。悩みに悩んだ。苦しんだ。もがいた。

 

悩み続けて、ある時思った。

 

「これも俺の人生なんだ。こうなったことは仕方ない」

「全部受け入れて、ここからどう新しい道を切り開くか」

 

そんな矢先に現在の立場をいただいた。

 

今でも朝起きるとまずストレスとの戦いから始まる。

 

「常時、左目は見えませんからね。明かりが差すことはないんですよ」

「でもね、この見えない左目が私を奮い立たせるんです。左目が見えなくなって、見えるようになった人生の本質がたくさんあるんです」

「人生に起こることは全部意味がありますよ。その人が”生きよう”と思い続けていれば、どんな苦境にも意味が生まれます」

 

そんなご苦労があったのか。

お話しを聞いていて、心が震えた。涙がこぼれそうになった。

 

誰もが 皆 自分の人生と闘っている

その人生を 受け入れて楽しむ他ない
最後には 笑えるように

 

帰りがけ歩きながら、浜田省吾「日はまた昇る」、沁みた。

 

 

 

海鳴りの聞こえる丘で 青空を見上げて想う
この旅の途上で 愛した人の懐かしい面影を

今日まで何度も厄介な事に
見舞われて来たけれど
今も こうして暮らしてる
これからも 生きてゆけるさ

夕日が空を 染めてゆく
明日の 朝も 日はまた昇る
おれが ここにいるかぎり
おれが そこにいようといまいと

激しい河の流れを 静かに見つめて

闇の向こうに何があるのか
誰ひとりわからない
わからぬことを わずらうよりも
今日 この時を 生きていたい

河を渡り 谷間をぬって 頂きを越えて

長い旅路の色んな場所で
数えきれぬ人に出会う
誰もが 皆 自分の人生と闘っている

荒野にひとり君は立ってる
行く道は幾つもある
だけど たどりつくべき場所は
きっとただ ひとつだけ

どの道を歩いて行こうと
君は君の その人生を 受け入れて楽しむ他ない
最後には 笑えるように