『一気読み 世界史』
出口治明 著
2022年11月21日初版
日経BP
内容紹介
人類5000年の歴史を7時間で一気読み!一気に読むから、流れがわかり、教養になる。暗記不要。日本史、西洋史、文化史、経済史…全部つなげてまるごと学ぶ、新しい教科書。入門に、学び直しに、論述テスト対策にも。
人類5000年の歴史の大きな流れが一気につかめる画期的な入門書。『哲学と宗教全史』『人類5000年史』シリーズなどの著作で知られる出口治明氏の待望の最新刊。日本史、西洋史、東洋史から、政治史、文化史、経済史まで、歴史を「ひとつなぎ」で学べる新コンセプトの世界史です。1万冊の本を読破した「現代の知の巨人」ならではの大局的な歴史観が、この一冊にぎゅっと凝縮されています。7時間で読める分量でも、歴史の要諦と本質があますところなく学べます。中高生から社会人まで、歴史の大局的な流れをつかみたい人に最適の新しい歴史の教科書です。
出口 治明
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県美杉村生まれ。1972年、京都大学法学部卒業後、日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年退職。同年、ネットライフ企画株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。08年、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更。10年間、社長、会長を務める。18年1月より現職。訪問した都市は世界中で1200以上、読んだ本は1万冊を超える。
書き出しは、約20万年前に人間がアフリカで生まれたという時点から。約10万年前にアフリカからアラビア半島沿いにユーラシア方向に旅を始めるグレート・ジャーニーから本書が進み始め、記載内容の濃淡と分量の多寡はあるが、現代においては、2011年東日本大震災、2017年のアメリカ、ドナルド・トランプ大統領の誕生、そして2020年の新型コロナウィルス感染症パンデミック、2022年のロシアによるウクライナ侵攻まで記載して終わる。
私が大学受験の際(1986年1月に共通一次試験受験)、社会科は「世界史」を選択した。受験勉強を超えた面白さがあった。完全にはまって、ワクワクしながら世界史のそれぞれの世界にどっぷり浸り、大学入学後も世界史に関する様々な本を読んできた。
そんな経験から、本書もとても面白く読むことができた。出て来る人物、地域、帝国名、制度名、戦いの名称など懐かしさも絡んで改めてワクワクしながら読んだ。
「一気読み」しようとすればできたが、それではもったいない。著者の意図とは反するが、そんな気持ちが先立ち、調べながら、その当時をイメージしながら楽しみ、味わいながら読んだ。「百気読み」とでも言おうか。
ただ、世界史は世界各地それぞれの歴史の総称であり、時代で見ても古代史や中世史、現代史などがあり、さらに政治史や文化史などの要素もある。それらをサビた記憶をたどりながら、時に用語を調べ直し、時に地図を見ながら、各地の同時代の歴史事象を横に見て、時系列を整理するなど、読了するまでにかなりの時間を要した。巻末に付録されている索引はとても助かった。
「一気読み」というタイトルに著者の意図がはっきり表れている。それは、固有名詞の暗記や細かな話しは流して、人類5000年の歴史を一気通貫で読むことで、歴史の「大きな流れ」を掴むことが大事である、ということ。
世界各地それぞれの歴史の総称としての「世界史」ではなく、世界各地それぞれを全部まとめてひとつにパッケージした『世界史』として「流れ」を掴む。それによって「人間って、こういう大きい流れのなかで生きてきたんやな」(はじめに)ということを理解して欲しい―それが著者の願いである。
(👇本書の「はじめに」を全編読むことができる)
2020年11月28日、大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)を訪ね、本書の著者である出口学長にお会いし、35分ほどお話しができた。
読書について、歴史についてなど、様々ご教示いただいたが、その中で出口学長が「本に書かれた歴史はあくまでその本が出た時点での最新情報を基にしています。歴史は常に更新されている。研究により新しい事実が発見されている。なので、常に最新の史実にあたること。そしてそれを基に思索することが大事です」と語られていたことは、歴史学習に限らず、仕事でも生きる考え方である。