私の「積ん読」最長・最強は「夜と霧」(ヴィクトール・E・フランクル著)。コロナ禍で自宅にいる時間が長くなった2020年9月にやっと読了した。「すごい本。もっと早く読んでおけばよかった」と想定どおりの感想を抱いた。

 

 

下の日経新聞「春秋」に紹介されている都立中央図書館で5月31日まで開催中のみんなの積ん読展<リターンズ>

 

同図書館同展ページには「みんなの積ん読」ランキングも発表されている。少なくとも人々の手元にはある、ということで嬉しかったタイトルには「夜と霧」も入っているし、やはり世界的名著、古典の部類に入るタイトルが並ぶ。

 

個人的には『レ・ミゼラブル』『罪と罰』そして『戦争と平和』はどんなタイミングであれ必読の書。


第1位 『失われた時を求めて 1~14』(プルースト作 吉川一義 訳/1913年~1927年刊)

第3位 『レ・ミゼラブル』(ヴィクトル・ユーゴー著/1862年刊)

第3位 『罪と罰』(フョードル・ドストエフスキー著/1866年刊)

第12位 『戦争と平和』(トルストイ著/1869年刊)

第12位 『夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル著/1947年刊)

 

「積ん読」に関するこのコラムは短文の中に勉強になる多くの要素が含まれているように思う。この記事を書きながら、自身の「積ん書」(つんしょ)をちょっと反省した。このコラムも掲載日当日読んで、ブログで取り上げよう(書こう)と思っていたが、ここまで忘れていた。そうした「積ん書」、まだたくさんありそうな気がしてきた。

 

2023年4月24日 日本経済新聞(春秋) 

 

読書には3種類ある。朗読、黙読、そして積置(つんどく)だ――。江戸時代、すでにそんな分類法があったという。明治に入り、「置」のかわりに「読」の字をあてた「積読」の表記が現れる。未読の書を抱え込む積ん読の歴史は古い。東京都立中央図書館の公式サイトで知った。

▼同図書館が現在「みんなの積ん読展」というユニークな催しを開いている。いつか読みたいのにまだ読めていない。そうした本を広く募りランキングと一部の現物を展示する。名作だが長い海外作品に交じり、当代の日本人人気作家の小説も。図書館員だけの投票結果もあり、プロでも積ん読の本があることにほっとする。

▼社会学者の上野千鶴子さんが本紙の随筆で、新型コロナによる外出自粛は積ん読だった古典を読む機会になったと記していた。一見無駄に見える積ん読だが、脳科学者の茂木健一郎さんは、いつか読もうと本の存在を意識しながら過ごすだけでもプラスになると説く。在宅時間がのび、「いつか」をかなえた人は多そうだ。

▼出版物の市場規模(紙と電子の合計)は2022年、4年ぶりにわずかだが減少に転じた。外出着やレジャーへの支出が回復するのと入れ替わるように、本や映像配信、家電など「おうち消費」の苦戦や鈍化が報じられている。気になる本があれば、積ん読になっても買っておこう。著者と自分自身、両方への投資になる。