去年、2022年10月7日からの「松山千春コンサート・ツアー2022秋」が始まる直前の2022年10月2日、自身のラジオ番組で語っていた。

 

「とくに今回昔の歌とか、歌ったことがない歌とかね(…)歌ってみて『ああ、こんな詞だったんだなぁ』とかね、『ああ、こんな気持ちで作ったんだよなぁ』とかな。それはコンサートの中でお客さんにいろいろ聴いてもらいながら、コンサートしていこうと思ってます。(…)俺が”これが松山千春の66年間だぞ!”っていう歌をお聞かせしたい」

 

結局、あのツアーではライブで初めて歌った曲はなかったので、リハーサルでは歌ってみたということだったと思うし、正直なところ通常のツアーと大きくは変わらない定番の曲が多く並んだセットリストだった。

 

 

今年の春のツアーについて、ラジオではまだそれほど語っていない。タイミング的なこともあるだろうけど、新曲への思いを含めてむしろ抑制的と言ってもいいほど、発言をあえて控えているようにも感じている。

 

デビューから47年目。途上で何人もの私の友人たちが幾つかの理由で松山千春ファンをやめていく中、40年以上自分なりに並走し応援してきた。

 

松山千春現在67歳。加齢速度などは他のミュージシャンより速く進んでいると感じているし、今後チケットの売れ行きも落ちて来るかもしれない…ここまで来たからこそ、あえて松山千春のコンサートに望むこと、願い、と言っていい気持ちがある。

 

松山千春にとって失礼な言い方もあると思うし、読んでくださった方が、”分かった顔をしやがって””えらそうなことを言うな”と不快に思われる表現もあろうかと思うが、「ここまで来たからこそ」「まだまだ頑張って欲しい」という気持ちで。

 

前提は、あくまで私の視点で、自分の経験も踏まえて、コンサートに足を運ばれ客席で松山千春のパフォーマンスを観ている方々の目線に立ったつもりで書いている。

 

願いは3つ。

 

1.体調管理

  春のツアーでは前半(4月9日投票日)、後半(4月23日投票日)含めて統一地方選に関連する告示などのスケジュールの中に、松山千春のコンサートは5公演ある。統一地方選候補者に松山千春がどれほど絡むか定かではないが、統一地方選最初の告示日は知事選の3月23日(木)。ツアー初日が4月7日なので、3月23日から4月6日までの期間を含めて、とにかくツアー中の統一地方選候補者への松山千春の応援演説は控えて欲しいと願う。

 

 昨年春のツアー、6月23日(木)の名古屋センチュリーホール(初日)、オープニングの「流れ星」の伴奏で「長い夜」を歌い始めるというミスをしたのは、その前日、衆議院議員選挙公示日に長野で炎天下の中、長距離を移動しながら2カ所も連続で応援演説し、そのまま名古屋入りしたことによる疲れ、体調不良がその原因のひとつだと、個人的には思っている。公演の合間に応援演説などをする体力はもうないと思うし、結局公演に影響する可能性は高いと思う。

 

 昨年秋のツアーの感想、ネット上で「千春、体調が悪そうだった」「声が全然出ていなかった。体調が悪かったのだろう」という類のポストをよく目にした。

 昨年春のツアー、東京国際フォーラム公演。私の40数年の松山千春コンサート参加歴の中でもっとも残念なステージだった。ステージに登場するなり体調が悪そうなのがすぐに伝わり、声も出ず、多くの曲で大きく音程を外していた。


 「どんなにボロボロになってもそのままの姿をお前達にさらけ出して俺は歌っていく」(要旨)と昔からよく言っていたが、それは本人の自覚としてはそうだと思う。”いつまでも歌っていたい”と言う一方で、禁煙する気はまったくなく、意識して体力作りを継続しているとも思えないが、大きな持病を複数抱えていることは理解し同情する。その体調で全国を旅しながら歌を届けて回るのは相応のしんどさもあると思う。

 それでも、演じる側の基本スタンスとして、実際のステージにファンを心配させるような状態で出てくるのはもうやめて欲しいと願う。もちろん、生身の人間、それでも当日体調が悪いという時があることを認識している。

 

 苦手だと思うが、地道に持続的に体調を管理し、自ら言っていたスクワットなども続けながら、ツアー中は行動を自制し、どこまでいってもファンとコンサート第一、万全の体調でステージに登場して欲しいと願う。

 

 

2.公演日当日の入念なリハーサル

 上の1とも関連するが、昨年秋のツアーでのファンのみなさんのポストで多かった別の点は「最初の数曲は本当に心配だった」「3、4曲目ぐらいから本来の千春の調子が出て来た」という内容。

 私が参加した11月17日、東京国際フォーラムでも5曲目の「ひき潮」から調子が出て来た。それまでの4曲は声が出ておらず、音程が外れるなど不安定だった。

 

 もうこれまでのように公演日当日、短時間でリハーサルすれば大丈夫ということでは、これまでと同じパフォーマンスは維持できないだろう。同じことが通用しなくってきているのだと思う。今後、当日リハはそれこそ本番と同じ思い入れでフルコーラス、第一部分ぐらいの曲数はしっかり歌い込んで、喉と体を温め、本番1曲目から本調子が出せるよう入念なリハーサルをして欲しいと願う。

 

 客席にいるファンに心配させず、それはひょっとすると苦しそうに不安定な音程で高い音のサビを歌うのを避けるためにキーを下げることにも共通することかもしれないが、ファンが安心感とゆとりをもって聴けるようなパフォーマンスを届けて欲しい。

 

 

3.プロンプターの導入

 巨大な譜面台(歌詞カード)をせり立たせて置くことをやめて、ステージセンターと左右に1台ずつ、合計3台のプロンプターを導入して欲しいと願う。

 

 ああいう譜面台の大きさと置き方はひとえに松山千春自身のためだけだろうけど、松山千春と客席の間に大きな壁を作っている。ああいう置き方をしているのは、ライブに行ったり映像を観たりしている他のミュージシャンの中にはいない。立って歌っている時もそうだし、とくに弾き語り時、せり立った譜面台の延長線上に座っている方々は弾き語りの間中松山千春の顔がまったく見えなかったり、腰から下しか見えないなどの時間が続く。

 

 先日、別のミュージシャンの弾き語りライブ映像を観た。そのミュージシャンはイスに座ってギターを弾き語りする際に譜面台を自分の膝の高さぐらいまでに低くしてステージとほぼ水平に置いていた。当然、それにより客席から演者が見えないということはない。

 

 松山千春、もともとサービス精神旺盛で、ステージの端から端まで行ってファンの思いに応えたい気持ちは満々。ただ、歌詞が出て来ないことを恐れて、ステージセンターのみにある譜面台の前から動こうとしないし、ちょっと動いただけですぐに譜面台の前に戻る~もう数十年見慣れた光景で目くじらを立てることでもないが、よりパフォーマンスを向上させお客さんに喜んでもらうために~両サイドにもプロンプターを置けばそれは解消されると思う。「プロンプターは不慣れでかつ余計歌詞が見ずらくて間違える」―その理屈があるとしたら、そこはひとえに、ファンのために慣れて欲しい。

 

 

 上の3点、私が思っている例ではあるが、いずれも松山千春にとってそう簡単ではないことは重々分かる。しかしそれこそリードに書いた、すべては集まってくれたファンのため、ファンに安心してもらい喜んでもらうために少しでも現状を改善する、良いと思われるものは取り入れるというベクトルを持ってくれたらと願う。

 

 「また次も来たい!」―そう思ってもらえるコンサートをいつまでも…願っている。

 

松山千春―「TOUR」