新型コロナウィルスの感染拡大(第7波)は留まるところを知らないと言っていいほど、毎日多数の感染者を出している。

現段階では、おそらく国は何らかの制限を発出することはないと思われるし、私の周囲でも何ら制限は出ていない。ただ、19日段階で約40%の病床使用率が上がってくれば、何らかの行動制限が出される可能性は多分にある。ともあれ、感染拡大の激流の中、感染防止対策をしつつ、withコロナで突き進んでいる。

 

その陰で5月来話題になっている動物由来のウィルス感染症「サル痘」。欧米を中心に感染例が続き、世界の広範囲で同時に感染が確認されたのは初めてらしい。WHOの発表によると5月以降、50カ国以上で3千人が感染したという(6月25日時点)。

 

ロシア政府は、欧州諸国を旅行したロシア人男性に「サル痘」に似た症状が出たため、医療機関に隔離したと発表した(7月12日)。

 

WHOは感染拡大防止に向け、引き続き警戒を呼びかけているものの、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と認定するには至らないと発表している。

 

少々前だが、日経新聞「春秋」は「サル痘」と、かつて世界的流行をみた「天然痘」をリンクさせ、新型コロナウィルス・パンデミックを含めてそれらを「グローバル化の宿命」とした。そのうえで、先人たちはその宿命を乗り越えて来たのだから、現代に生きる我々もまた乗り越えて行こう、と言下に呼びかけていた。

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人類は長い間、天然痘(痘瘡(とうそう))との闘いを繰り返してきた 

2022年5月25日  日本経済新聞

 人類は長い間、天然痘(痘瘡(とうそう))との闘いを繰り返してきた。医学者の富士川游が明治末に著した「日本疾病史」はこの疫病について多くのページを費やし、8世紀前半の天平年間から近世までの苦難を克明につづる。記録にあるだけで、流行は60回ちかくに及ぶという。
▼江戸期だけをみても、1619年、54年、79年、82年、1702年、08年、09年……。間隔はだんだん短くなり「遂ニ連年絶エズ、小流行ヲ見ルニ至レリ」。災厄は内外で果てしなく続いたが、18世紀末、英国のジェンナーが種痘を開発して時代は変わる。約200年後、世界保健機関(WHO)はついに根絶を宣言した。
▼ウイルスという魔物は、しかし油断もスキもない。天然痘は地球から消えたのに、それに似た「サル痘」の患者が欧米などで相次いで見つかっている。もっとも、かの兄弟分に比べれば感染力は弱く、ほとんどが軽症というから冷静に推移を見たい。かつて日本でもみんなが打った天然痘ワクチンがこちらにも効くそうだ。
▼わが二の腕の接種痕は見えなくなってしまったが、いまも免疫は残っていようか。日本で種痘が廃止されてほぼ半世紀。天然痘をめぐる歴史をたどらせる、今回の異変だ。そういえば、遠い天平時代のパンデミックは海外交流の拠点だった大宰府から始まったらしい。グローバル化の宿命を乗りこえて、先人たちは歩んだ。