「ドローン・オブ・ウォー」
―原題:Good Kill―
(2015年10月1日公開)
2014年製作/104分/R15+/アメリカ
原題:Good Kill
監督:アンドリュー・ニコル
製作:ニコラス・シャルティエ ほか
製作総指揮:パトリック・ニュウォール ほか
主演:イーサン・ホーク
ブルース・グリーンウッド
ゾーイ・クラビッツ ほか
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第一次大戦以降、兵器の性質は大きく変わった。
それまでの兵器は銃であれ刀剣であれ、殺す相手が自分の目の前にいて、自分が攻撃した相手が血を流し苦しむ様子を否応なく見ていた。
第一次大戦以降の大量破壊兵器では、爆撃機やミサイルでの空爆のように相手を見ることなく多くの人々を殺すことができるようになった。その最たるものが原爆だろう。
二十一世紀に入ると兵器の性質はさらに変わり、ドローンなどを使って戦地に行かずして大勢の人たちをボタンひとつで殺す時代に変わった。
どんなに兵器の性質が変わろうと、どういう兵器であれ、それを使う人間の内面に大きな負の影響を及ぼすことは過去も現在もまったく変わりはない。いつの時代も戦争は、本来人間の生命に備わる、他者を慈しむ心を破壊する行為である。
解説
「ガタカ」のアンドリュー・ニコル監督とイーサン・ホークが再びタッグを組み、無人戦闘機ドローンにより、戦地に行かずして空爆を行う現代の戦争の実態と、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しめられるドローン操縦士の異常な日常をリアルに描く。
アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐の赴任地は、美しい妻とふたりの子どもと暮らす住宅街のマイホームから車を走らせ、歓楽街を抜けた場所にあるラスベガスの基地に設置されたコンテナの中にあった。そこで無人機ドローンを遠隔操作し、1万キロ以上離れた異国をクリック1つで空爆をする。ゲームのような現実感のない戦場と家族の待つ家との往復、それがイーガンの日常であり、異常ともいえる現代の戦争の姿だった。(映画.com より)
無人戦闘機ドローンがテーマの戦争ドラマ!
映画『ドローン・オブ・ウォー』予告編
(2015年8月6日)
二十一世紀になると兵器の進歩はさらに進んで、エアコンの効いた基地の一室から一万キロ離れた地に無人航空機(ドローン機)を飛ばし、ボタン操作でそこから空爆する、などということができるようになっています。これが恐ろしいのは、他者の生命を奪う実感がまったく感じられないまま殺すことになるからです。(…)
無人航空機による遠隔爆撃を繰り返す米軍の元戦闘機パイロットが、次第に精神の平衡を失っていく様子を描いた『ドローン・オブ・ウォー』というハリウッド映画がありました(2014年/アンドリュー・ニコル監督)。実際にその映画の主人公のように悩み苦しんでいる兵士もいることでしょう。(佐藤優/作家、元外交官)