注意セットリスト等記載あり注意

 

松山千春

「コンサート・ツアー2022春」

5月12日(木)

@東京国際フォーラム(東京公演初日)

 

 

半年ぶりに参加した松山千春のコンサート。12日のセットリストは下方の東京国際フォーラム外景写真の下に記載している。

 

今回は久しぶりに1階席だったが、かなり後方エリア。とにかく5,000人キャパのホールで構造自体を大きくとっているうえ、椅子が大きい。後方席になるとステージがとにかく遠い。やっぱり1階席後方なら、2階席前方がはるかにいい。

 

(東京国際フォーラム1階席:筆者撮影)

 

そんな私の席から観ていたこの日のライブに関連して記憶に残ったことを、あくまでスピンアウト的な、残滴、余滴(番外、雨後に残った滴)として二つ。

 

ひとつはバックバンドの素晴らしさ。

バックメンバーの全てのパフォーマンスがとにかくよかった。

 

演奏は当然として、心から楽しそうに、いきいきと演奏している彼らが発する雰囲気と音は、遠い1階後方席にも充分届いていた。二部に入っての「春夏秋冬」のサビの部分は彼らの合唱だったが、これもよかった。きっと一生懸命練習したのだろう。音を外すことなく綺麗にハーモニックに届いた。

 

エレキギター(EG)山崎淳、アコースティックギター(AG)坪井寛、ベース高野逸馬、ドラムス田中栄二、キーボード夏目一朗、ピアノ中道勝彦、サックス&パーカッション春名正治、以上男子7名以下写真男子7名

 

(高野逸馬公式Twitterから)

 

その中でも、個人的に特に輝いていて、奏でる音もしっかり届いたのがEGの山崎淳。

 

この日の一部3曲目の「初恋」。メイン伴奏はAGの坪井寛。そこにAGに持ち替えたEGの山崎が所々で入れて来るAGの音が見事だった。EG奏者らしく、ほとんどハイコードで弾き、響きと透明感ある音はAGの伴奏に何倍も厚みを出していた。

 

続いて同4曲目の「ピエロ」。EGをがんがん入れる曲ではなく、アレンジもピアノやAGなどがメイン。そこに山崎が、ダウンストロークのEGの音を一定のリズムで入れていた。これもよかった。この曲全体の音に厚みを与えた。

 

さらに二部、トータル11曲目の「虹のかなた」。山崎がガットギターに持ち替えてリードギターの役回り。確かにガットギターでのリード音がよく合う曲だと思うが、山崎が奏でていたそれは、悲し気で寂し気、かついつかどこかで流れていたような懐かしい雰囲気を運んで来るこの名曲にマッチしていた。

 

良い時も悪い時も、音は間違いなく奏者の感情を伝える。歌声を聴けば、その日の体調が分かる。

 

重ねて、バックメンバ―のパフォーマンス、素晴らしかった。

 

 

ふたつめ。

 

1階後方席からの不愉快な度重なる大声。

 

ちょうど松山千春が二部で、鈴木宗男さんの言葉を引用しつつロシア絡みのことを話していた時。松山千春にも届いていたと思う。

 

敢えて書くことはないと思っているが、あの日、特に1階席ステージ向かって左側エリアに座っていた方々はかなり気に障ったと思う。何人かの方々は大声が上がるたびに後ろを振り向いていた。

 

私が説明する義務もないけど、よりによって私のすぐ近くに座っていた方なので、何かそんな気になって、事実だけ書き残すと…。

 

結論的には、”すみません。大声を出すのはルール違反です。またこれもみなさん共通のルールなので、マスクを着用していだだけませんか?”と伝える状況の方ではなかった。大声は大いに不愉快だったが、すぐにその感情は流しておけばいい方。

 

かなり遅れて、マスクも着用せずに入場した。入場するなり、扉の所で「素晴らしい!!」と一発目の大声。終わりは、アンコール途中で「素晴らしい!!」と大声で叫んで帰って行った。マスクを着用しないまま、着席した後も大きな咳をしたり、大声を出す。一人付き添いのような方が一緒に座った。

 

付き添いの方もそれを十分承知だったと思う。私の中に悪意はない、単にそういう方。

 

とは言いながらも私の周囲に座っているみなさんもかなり気にされている気配。私は現場監督ではないものの、さてこの状況、どうしたものか…?私が下手に注意してその方とトラブルになっては、より大きく松山千春と集まったみなさんに迷惑をかけるだけ。主催者側から言ってもらうのがベストと、周りを探し始めた。

 

その二人が入場した扉の所に立っていた若い女性スタッフ(場内係)、おそらくアルバイトの方かな?再び大声を出した時に、彼女はすぐにその場を去った。私が見ていても、上司もしくはもっと年上のスタッフを呼びに行ったんだなと分かる。

 

すぐに男性スタッフを連れて彼女が戻ってきて、大声を出した人には気づかれないように、その人が座っている座席を伝えていた。結局、やって来たその男性スタッフは、すこしその大声を出す方の近くに立つという対応をした。

 

彼女の迅速で適切な対応を褒めてあげたかった。私が退場する際にその彼女が立っている扉からだったので、彼女に「さっきの対応、ありがとうございました。迅速でしたね」と伝えたら、嬉しそうに「ありがとうございます」と頭を下げていた。

 

ともあれ、上のように書いたが、瞬間的にそうした感情が消えるわけもなく…。その大声を連発した直後に歌ったのが「虹のかなた」、この日、というよりも常に「あなたが僕を捜す時」と同じレベルで、私が一番待ち続けている曲。まったく、戻らないコンサートの貴重な時間は虹のかなたか、つかのまの愛しい時間と笑う…。

 

余談だが、鈴木宗男さんの「対ロシア関係改善・発展」への尽力は社会的にも評価されている。私の中に、松山千春のファンだから自分も鈴木さんを応援する、という判断はまったくない。

 

ただ、鈴木さんが「ライフワーク」として、文字どおり人生を賭けて長きに渡り取り組んでいるため、このことについての鈴木さんの発言には誰であれ耳を傾けるべきだと私自身は思う。

 

(ウクライナのバンドゥーラ奏者・歌手のカテリーナ:左と松山千春)

 

この日のロシア絡みの松山千春のトークは、事前によく練ってきたのか、たまたま当たったのか、ともあれ適切な内容だったと思う。

 

「対ロシア問題を考える際、日本は北方領土のことも視野に入れる必要がある」

「ウクライナの状況を見て対ロシアを考えると、日本も核を保有すべきなのか…それは違う。そんなことをしたら、核戦争に突入しかねない。極端な発想を捨てて、非核三原則を前提として、粘り強く政治交渉、外交で解決の道を探るべきである」ことを、鈴木宗男さんに聞いた、というシチュエーションで鈴木さんの発言であることを前置きして、語っていた。

 

ラジオでの松山千春の発言を聞いていても、この見方は明らかに松山千春が鈴木さんと話しをする中で身に付けたもの。個人的にも鈴木さんの発言はそのとおりだと思う。もちろん、世の中には全面的であれ、部分的であれ、その鈴木さんの主張に異を唱える人もいる。

ちなみに、この松山千春のトークの中で

「日本は核を持つべきか?」→<賛成!!>

「宗男さんは、いや、核は持たずに交渉、外交で道を探るべきと言った」→<反対!!>

というように、上に書いた方はこの辺りのトークに触れて、大声で何度も叫んでいた。

 

「オレは超一流だからステージでも政治の”話し”をする」「フォークシンガーだからメッセージとして政治の”話し”をする」ことは分からなくもないが、どうあれ、人の信条と心情に深く関わる政治(や宗教など)に関するトークを、コンサート会場で、歌や語りを届けるという観点でみれば、一方的にしか成立しないステージからするのは、仮にいくら適切、的確でいい話しをしたとしても、松山千春本人にとってそこには必ず大きなリスクが伴うと思う。

 

時代と人々の感覚はどんどん多様化している。ついこの間まで通用したことが、急に通用しなくなることが多々ある。また、今回のような客席からの大声などがあれば、その場にいるみなさんにも、歌とはまったく違う場面で不快な思いをさせる。

 

松山千春、今年12月で67歳。加齢と複数の持病で常に体調が懸念される中、必死に全国に歌を届けている松山千春のコンサートは本人と集まったファンのみなさん、スタッフにとってますます1回1回が貴重なものとの感を帯びてきた。参加した初日はその感を強くした。その貴重な場を松山千春の努力を第一に、みなさんで作り上げていきたいものである。

 

松山千春がどういう政治的信条を持ち、どういう政治家や政党を支持するかについては、当然ながら本人の自由である。

 

私としては、松山千春が政治的な話をしたいのであれば、コンサートのステージ上からではなく、お互いに意見交換ができる場、お互いの物理的距離が近い空間で、「松山千春と時局・政局を語る会」などと銘打ち、オフィス・ゲンキ主催で、場を改めてやるべきだろうと思っている。

 

 

(東京国際フォーラム:2022年5月12日筆者撮影)

 

(セットリスト)


01. 流れ星
02.銀の雨
03. 初恋
04. ピエロ

 

-guest-

「ウクライナ」(歌唱 カテリーナ)

「翼をください」(同)

※ウクライナ出身のバンドゥーラ奏者

カテリーナ自身の演奏で


05. ひまわり


-----完全休憩-----


06.旅立ち
07. 季節の中で

08.オホーツクの海

(キーボードのみワンコーラス)

09. 春夏秋冬
10.オロオロ
11.虹のかなた
12.旅路


-----Encore01-----


13.長い夜
14.青春II

15.浜辺

 

会場のリクエストカードを見て…

「Sing a Song」

(最初のワンフレーズのみ/

歌詞が出ずに歌唱中止)


16.大空と大地の中で

 

 

※写真1と5は日刊スポーツから