「弱いつながり」「緩やかな関係」が新たな閃きを生む…4月7日の日経産業新聞に『「弱いつながり」が生む閃き』と題するコラム(眼光紙背)が掲載されていた。

 

「ウィーク・タイズ」…緩やかな絆、弱いつながり

 

ここ数年、徐々に注目を浴び始め、日本の一般紙でも取り上げられる機会が増えてきた。

 

アメリカの社会学者、マーク・グラノヴェターが提唱し、日本では玄田有史氏(東京大学社会科学研究所教授)もそれを発信している。

 

五十を超えた頃からか、私自身もこの「ウィーク・タイズ」の大切さを実感している。職場でイノベーションを起こす場合の触媒としての「ウィーク・タイズ」もあるが、私自身が日々瑞々しく生きていく上で、自分の原点を確認し、気持ちを温かく包む有り難い緩やかな関係…そんな捉え方をしている。

 

_____

 

  「弱いつながり」が生む閃き(眼光紙背)

2022年4月7日 日経産業新聞


 経営の世界で「弱いつながり」の重要性が注目されて久しい。もともと社会学者のグラノヴェッターが1973年の論文で指摘したことだが、例えば「10年間一緒に仕事をした同僚」より、「異業種交流会で知り合い何度かメールしただけの人」からのほうが有益な情報を得られることが多いというのだ。
 なぜか。強いつながりの相手は経験や発想、仕事の環境が自分と重なり合うので、相手から得られる情報は既に自分が知っていることとたいして代わり映えしないものが多い。逆に弱いつながりの相手は自分とはかけ離れた新規の情報を持っており、それがときに大きな威力を発揮するのだ。
 グラノヴェッターの実証研究でも、転職の際に役に立つ情報をもたらしてくれたのは、頻繁に顔を合わせる人ではなく、たまにしか会わない人だという結果が得られた。
 最近取材した大手メーカーの経営者OBは「新しいアイデアを思いつくのは、きまって顧客企業の経営者や大学の先生など社外の人と話しているときだ。社内の会議で何かが閃(ひらめ)くことはゼロだった」と言っていた。「社長と部下」という強いつながりよりも、社外の人との弱いつながりがイノベーションを創出するきっかけになるのだ。
 サイバーエージェントは社内のビジネスコンテストの応募の際に、自部門で固まるのではなく、他部門の人との共同提案を条件にしている。これも部門の壁を越え、「弱いつながり」の形成を促す仕掛けである。(星狼)