創刊150年 毎日新聞にのぞむ9⃣ 歌手 さだまさしさん
2022年2月19日毎日新聞
信頼できる「真の報道」を
創刊150年おめでとうございます。かつてバイオリン少年だった僕は小学6年生の時、毎日学生音楽コンクール西部(九州・山口)大会で2位に入賞したのですが、その時の1位は山口県の女性。なぜ九州大会に山口の人が加わるのか謎で、大人になって毎日新聞でコラムを担当させていただいた時に新聞社の人に伺うと「ああ、営業所の管轄の都合ですねえ」。なるほど、営業所の事情でしたか。ともあれそういうわけで我が家にとって毎日新聞は尊い新聞でした。その影響からか今でもパソコンで原稿を書く際に、わざわざモリサワフォントの「毎日新聞明朝」を使用するほどなのであります。
さて近年新聞購読者が激減し、ニュースはネットで足りる、というオソロシイ人が増え、匿名を隠れみのに汚い言葉を吐き散らすひきょう者も増えました。事件事故情報や伝聞をただ広げることを「報道」と呼びたくありません。TVまでずさんなネット情報に揺らぐ現代は「真の報道の危機」だと感じます。丁寧な、足で書く「検証報道」や正義感を捨てない「真実の追求」という新聞の「志」までもこうしてゆっくりと消えていくのでしょうか。では、僕らはどんな情報を頼りに世の中を正しく見つめていけば良いのでしょうか。信頼できる情報こそ毎日新聞の真骨頂だと信じます。日本最古の新聞の誇りを持って「大人の事情」ではない「本当のこと」を書いてほしいのです。この国の未来のために、何とぞ何とぞ頑張ってください!
(さだまさしInstagramから)