中島みゆき「誕生」―松山千春の語りの向うから聞こえてきた、静かに深く大きく心を揺さぶる名応援歌

＜2024.01.19＞再掲
＜2022.11.30＞公式音源挿入

中島みゆきー「誕生」
2022/11/28公開

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＜2022.01.28＞

2022年２月２日に発売が決定している、中島みゆき2020年ラスト・ツアー「結果オーライ」の音源を完全収録した２枚組ライヴCDアルバム。その初回特典映像から「誕生」が公開された。

2022年1月27日NHK「SONGS」中島みゆき特集コーナーでもこの映像が紹介されていた。2020ラスト・ツアーに密着したドキュメンタリー映像も、短時間ながら中島みゆき、瀬尾一三をはじめとする関係者のツアーにかける思いが伝わってきた。最後までやりたかっただろう。

『誕生』ダイジェスト動画/中島みゆき

2020ラスト・ツアー「結果オーライ」
初回盤特典（BD・DVD）より
2022/1/28公開

【公式】中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」

ライヴCDアルバム・トレーラー動画

※「誕生」４分35秒～５分05秒
2021年12月24日公開

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＜2019.07.08＞

昨日（2019年７月７日）、松山千春は自身のラジオ番組で、子どもが犠牲になる残忍な事件が続いていることに言及したうえで、思いを語った。

「お前の子どもが生まれた時、可愛かっただろう。お前自身がそうだったんだから。
お前が生まれた時、お前の父さん、母さんはどれほど愛し、また心配してくれたことか。忘れたくないですね。そういう気持ちはだけは忘れたくない」

まったくそのとおりである。

父と母が、私が生まれた頃からの写真を残しておいてくれた。

”こんな時もあったなんだな”と、私の記憶なき赤ちゃんの頃や、誰かが撮ってくれたのだろう、１、２歳の頃の私を、若い日の父と母が嬉しそうな笑顔で見つめている。

今も無事に生きている。両親がどれほど愛情を注ぎ、大切に育ててくれたことか。我が子たちにそれに負けないほどの愛情を注いで来られただろうか。まだまだやってあげられることがあるはず。

松山千春の語りを聞いていて、中島みゆきの「誕生」が聞こえてきた。

中島みゆき「誕生」

1992年３月リリースのシングル。

『EAST ASIA』『大吟醸』など、いくつかのベストアルバムやライブアルバムにも収録されている。

彼女の歌詞は底知れぬ深さがあり、畏れ多くて軽々に解説めいたことはとても書けない。

いわゆる誕生日を普通に祝う歌ではない「誕生」

中島みゆきの楽曲中、私の中で「命の別名」と並ぶ最高峰。

アップテンポで明るく前向きそのものの歌詞で綴られた応援歌ではない「誕生」

静かに、聴く人の心にゆっくりと染み入り、聴き終えると心が大きく揺さぶられる歌詞。大きく深呼吸して、また歩き出そうと心の底から思える、深くスケールの大きい応援歌である。

人生の失意の底に沈むあなたが、泣いて泣いて、そしてもう一度立ち上がって歩き始めようとしている。

あなたは、人がみな泣きながら生まれてきたように、今新たな自分に生まれ変わろうとして、また泣いているのか。

子どもが生まれてきた泣き声を聞いて、「Welcome！」「よくぞ私達のもとに生まれてきてくれた、ありがとう」と、心の底から喜び、うれし泣きした両親がいた。家族がいた。

ここまで生きてくる中で、たくさんの人たちに育まれ守られてきた。

あなたは生まれてきただけで何より尊い。かけがえのないあなた。

【Remember】

「思い出す」「記憶する」「忘れない」　

これから、もしあなたが再び失意に沈み、生きることが嫌になった時、

みなのあの時の「Welcome！」という声と、みなへの感謝を忘れた時、

自分ひとりで生きてきたような錯覚に陥っていい気になっている時、

私はいつでも何度だってあなたに言う。

「生まれてくれて　Welcome」

「Remember　生まれたこと」
「Remember　出逢ったこと」
「Remember　一緒に生きてたこと」

「思い出して　最初に聞いた　Welcome」

中島みゆき「誕生」

ひとりでも私は生きられるけど
でもだれかとならば人生ははるかに違う
強気で強気で生きてる人ほど

些細な寂しさでつまずくものよ

呼んでも呼んでもとどかぬ恋でも
むなしい恋なんてある筈がないと言ってよ
待っても待っても戻らぬ恋でも
無駄な月日なんてないと言ってよ

めぐり来る季節をかぞえながら

めぐり逢う命をかぞえながら
畏れながら憎みながらいつか愛を知ってゆく
泣きながら生まれる子供のように
もいちど生きるため泣いて来たのね

Remember

生まれた時だれでも言われた筈
耳をすまして思い出して最初に聞いた

Welcome

Remember 生まれたこと
Remember 出逢ったこと
Remember 一緒に生きてたこと
そして覚えていること

ふりかえるひまもなく時は流れて
帰りたい場所がまたひとつずつ消えてゆく
すがりたいだれかを失うたびに
だれかを守りたい私になるの

わかれゆく季節をかぞえながら
わかれゆく命をかぞえながら
祈りながら嘆きながら