12月29日、時事通信【パリ時事】が伝えていた。
フランスでは学校でのいじめを厳罰化する動きが進んでいるという。国民議会(下院)は11月、いじめ被害者が自殺または自殺未遂した場合に最大で禁錮10年と15万ユーロ(約2000万円)の罰金を科すことなどを定めた法案を可決。来年1月には上院の審議が始まる。
フランス教育省の発表によると、フランスでは全児童・生徒の6%に当たる年間約70万人がいじめの被害に遭っている。ここ数年はインターネットを通したいじめが多発しているようで、報告されていないケースも想定すると、実際の被害者は80万~100万人に上るとみられている。
いじめられる側には何らかいじめられる理由がある、とのいじめる側の自己正当化の屁理屈は根強くあるが、それらはいじめてよい理由には一切ならない。いじめは、いじめる側が100%悪い。
先日、長女を駅まで車で送った。車中かけていたのは松山千春ライブアルバム『弾き語りライブ』。走り始めてちょっとした頃から、松山千春が弾き語りで歌う岡林信康の「私たちの望むものは」(1970年)に入った。なんか気配がしたが、やっぱり長女が口を開いた。
娘:なに、この歌??同じことばっかり歌ってんじゃん。
父:ばか、ばか、よく聴けば全部違うだろう。これ、フォークソングの代表曲みたいなもので、有名な曲だぞ。松山千春が歌の世界に入ろうと思ったきっかけの曲。高校1年の松山千春が文化祭の前夜祭でこの歌をギター一本で歌ったんだよ。
娘:フォークソングってなに⤴??
父:(ん?そっからか)まぁ、フォークソングって言うのは簡単に言うと、生活の歌、労働の歌かな。生活の中で自分が感じたことを自作の歌に乗せて歌う。1960年代に若者たちの間で流行ったんだよ。
娘:へぇ~、そうなんだ。じゃ、松山千春とか長渕剛もそうなの?
父:そうね。影響を受けてる。とくに1960年代後半に巻き起こった学生運動、70年に批准された第二次日米安全保障条約やベトナム戦争に多くの市民や学生が反対運動を起こしたんだ。その時に、とくに反戦への願いを込めて自分の考えをこういうフォークソングに託して、それを歌いながら運動の士気を鼓舞したんだよ。
娘:その学生運動っていうのはちょっと知ってる。
私:でも1969年に東大安田講堂に学生たちが立てこもって、それを警視庁が制圧、占拠解除したことを契機に急速に下火になっていった。でもね、その方法はどうあれ、高校生や大学生が自分たちの力で社会を変えようとして必死に行動を起こした時代だったことは間違いないよ。
娘:へぇ~。パパ、今日めっちゃ語るじゃん。
私:…ん?…
(「私たちの望むものは」松山千春カバー)
さだまさしは2018年11月20日に東京国際フォーラムで開催された「45周年記念コンサートツアー 2018 Reborn ~生まれたてのさだまさし~」の中で、「いじめ」に絡めながら、学生運動について語っていた。「いじめ」に反対しつつ、いじめられる側の人の気持ちに寄り添うトークの後、「桜ひとり」を歌った(トークは以下)。
高校時代はね、俺、國學院の附属入れてもらってさ、神宮球場の真向いの高校通ったの。ここはいじめはなかったよ。あのね、学校にいじめがなかったんじゃない、いじめやってる時代じゃなかったんです。僕が3年の時に1970年。68年、69年、70年、高校3年間ね、70年安保闘争の真っただ中の都心の学校に通う高校生だったんだよ。だらか明治公園じゃ毎日シュプレヒコール上がってるんだから。そんな個人のいじめなんてやってる場合じゃないのよ。
学生運動ってのはね、俺、別の方向から話をするね。みんなその学生運動っていうのは何だったから分かんないだろうけど、現場にいた人間として、僕のこれ肌で感じた体温としてお話しするね。あの当時の大学生、高校生はね、誰かに逆らいたかったっていうそういう単純な図式じゃないの。みんなね、日本の未来について悩んでたんだよ。“この国はこのままだとだめになる”“この国を良く変えるにはこれしか方法がない”とある人達は思い込み、その方法は間違っているという対立も起き、そして学生運動のあのうねりになっていったんだよ。(後略)
まぁでもね、確かに言えることは、高校生、大学生が国の百年後を語っていた時代…ある意味不幸な時代だったかもしれないけれども、俺は、今振り返ったらなんて幸せな時代だったんだろう、と思うよ。国の百年後なんて今の高校生、語ってるかなぁ?語って欲しいなぁ。高校生、大学生に日本の百年後…二百年後は心配要らない。国っていう概念がなくなるから。
百年後はまだ国っていう概念が残ってるからね。この国は何処へ行くんだろう、って考えて欲しいよなぁ。くっだらないじめなんかやってる場合じゃない。でも、いじめは、親の出る幕、もう子どもの命守らないと、いけないと思う。(後略)
孤独…誰も隣に座ってくれないっていうくらい切ないことないよな。だから音楽はね、そういう時のためにあるんだよって思うんだよな。
迷い道でふと見つけた
桜がひとり
誰も知らない路地裏の
行き止まりに
昨日春一番が吹いた
三寒四温の夜
冴え冴えと十六夜の月
枝先は春色
「頑張れ」って僕は
誰に言ったんだろう
こんなところに棲んでた
桜がひとり
迷い道でふと見つけた
僕だけひとり
誰も気づいていないけど
僕だけひとり
昨日桜が咲きましたと
夜のニュースが言う
思い出して出かけてみた
行き止まりの花に
「頑張れ」って君が
僕に言ったのかな
こんなところで咲いてた
桜がひとり
吹きこぼれるほど咲いてた
たったひとりで
さだまさし Reborn~生まれたてのさだまさし~ ライブ・ダイジェスト映像
0分59秒時点から「桜ひとり」