<2024.01.31>加筆

<2022.12.16>公式音源挿入

<2018.2.6>

 

 

松山千春アルバム『純』

 

 

1991年11月に22枚目のオリジナルアルバムとして発売された。アルバム自体のチャート最高位は19位(ウィキペディア)。

 

NEWSレコード倒産直後のアルバム『明日のために』(とくにB面)から伝わる松山千春の挫折感とはまた違った、挫折、孤独、寂寥、葛藤そして決意がにじみ出ていると感じるアルバム。

 

全盛期を越え、1987~89年頃までは弱まりつつもまだその余韻があったように思う。しかしその後さらに時代と交差し、本格的に右肩下がり期に入り、アルバムも売れなくなった頃に出た作品だと認識している。

 

私の勝手な認識で失礼だが、自身が置かれたその状況に対する葛藤と悩みと決意を繰り返す松山千春がいたと思っている。「ボーダー・ライン」「雑踏」「ひとりきり」「冬の嵐」「微笑」…そう感じる楽曲が並ぶ。

 

「冬の嵐」

(同アルバム9曲目収録)

 

松山千春得意の三拍子。他のシンガー・ソングライターに比べると松山千春は三拍子(や六拍子)のリズムを多用する。

 

松山千春が歌詞で使う綺麗で抽象的な単語や短いフレーズ、世界感やスケールからすると、三拍子のリズムが合っていると感じている。

私の中で松山千春楽曲中、名曲と思えるものは三拍子が多い。

 

(「冬の嵐」を歌う松山千春/2016年)

 

歌詞からは「雪化粧」に似た、街の寒さと白さが見事に伝わってくる。そして何より主人公のやり切れなさや孤独、悲しさも。
 

歌詞にある「夢」「過去」「憧れ」が、「挫折」「孤独」「寂寥」に置き換わったようである。

 

その中で「逃げ出すより何かできるはずだ」と、「春の足音」に似た、寂しさ、悲しさみたいなものを歌いつつも、その向こうから前に進もうとする決意の芽生えを感じる。
 

2016年1月25日のファンミーティングではこれを弾き語りで歌っている(以下:今後削除された場合、ご容赦)。

 

 

今はもうほとんどカラオケには行かないが、かつては行くと必ず歌っていた。そういう呼称や位置づけがあるとしたら、松山千春「転」の時代を代表する名曲だと思う。

 

昨晩(2018年2月5日)から北陸方面は記録的な大雪、まさに冬の大嵐に見舞われている。特に福井県の豪雪。福井に住む友人が、雪の猛威を伝えてくる。予報によれば7日も8日も雪。北陸の皆さんが無事でありますように。

 

2024年元日に発生した能登半島地震から約1か月。まだまだ厳しい冬が続く。

 

2024年1月28日放送の「松山千春ONTHERADIO」の最後に、次のように語り「冬の嵐」をかけた。

 

「みんなもぜひ、健康に気をつけられて。(…)この冬、あと少しだと思うよ。(…)ぜひ、いい春を迎えてもらいたいなと思います」

 

松山千春「冬の嵐」に感動し浸りながら、現実の冬の嵐が過ぎるのを祈った。

 

 

窓をあければ 夜の間に
雪が街を覆いつくし ただ銀世界
息の白さに 肩をすぼめて
今日がどうか昨日よりは

よい日であれと
愛よ 恋よ 友よ
夢よ 過去よ 憧れ
嵐よ 過ぎ去れ 心の中で
吹き荒れつづけた 冬の嵐よ

街は静かに 音もたてずに
キラリ キラリ 輝いてる ただ銀世界
やりきれぬ思い 瞳 あふれて
逃げ出すより きっと何か

できるはずだと
愛よ 恋よ 友よ
夢よ 過去よ 憧れ
嵐よ 過ぎ去れ 心の中で
吹き荒れつづけた 冬の嵐よ

嵐よ 過ぎ去れ 心の中で
吹き荒れつづけた 冬の嵐よ

 

 

(2018年1月22日東京大雪の夜/筆者撮影)