<2024.05.18>OfficialAudio挿入、加筆
<2023.9.24>加筆、映像挿入
<2021.10.1記事>
BSジャパン
「あの年この歌 ~時代が刻んだ名曲たち~」
は2014年4月から2018年3月まで放映された歌番組(30分番組)。毎週、ある年に話題になった歌を取り上げ、その年と歌について掘り下げていくもの。
音楽コメンテーターは坂崎幸之助さん(THE ALFEE)、高見沢俊彦さん(THE ALFEE)、野瀬泰申さん(日本経済新聞特別編集委員)、進行役は佐々木明子さん(テレビ東京アナウンサー)が努めていた。
2016年5月7日の放送、年代は「1981年」、歌は松山千春の「長い夜」を取り上げていた。この時の音楽コメンテーターは高見沢さんだった。ある音楽評論家がVTRで出演し、コメントを寄せていた。
松山千春「長い夜」
(1981年/Original Ver./Official Audio)
「長い夜」は発売された1981年のシングル年間売り上げランキングで第5位。そして「現在(2016年放送当時)も歌われている1981年の歌」で第1位だった。
かつて富澤一誠さんが書いた「松山千春―さすらいの青春」に綴じ込まれている写真を活用して、松山千春の高校時代頃まで遡って紹介していた。また、「季節の中で」の大ヒットを伝え、十勝野外ライブでそれを歌う映像も放映していた。
「長い夜」の紹介映像は1982年札幌真駒内での5万人ライブでのもの(以下)。それまでフォーク色が強かった松山千春の新たな挑戦と、新たな境地を開いた歌として伝えている。現在まで歌い継がれる松山千春最大のヒット曲と位置付けている。
北海道・岩見沢でのライブ映像で「恋」「大空と大地の中で」も放映していた。
あえて、残念だったのは、松山千春のデビュー前の出来事を紹介する際に、ナレーションは竹田健二さんのことをお名前も出さずに「当時のラジオディレクター」という言い方をしていたこと。
番組の流れ的にはそうなのかもしれないが、松山千春を伝え語り、「当時のラジオディレクター」とまで出すんだったら、竹田健二さんのお名前を出して欲しかった。あくまで私の感想として。
あと、VTRでコメントを寄せた音楽評論家が番組のご意見番して何度もコメントしていた。松山千春についてのコメントは、自分は分かっている前提で、少々粗っぽく語っていた。
私が観た限りだけど、松山千春の本質を言い当てているとは言えず、画竜点睛を欠くコメントはファンとしてはちょっと不快に感じた。
そのうえで、嬉しかったのはTHE ALFEEの高見沢さんが、番組内で何度も松山千春を称えていたこと。
「すごい声量ですね」
「(松山千春の)歌唱力は一番だって気がしますよね。持って生まれたものを生かせる人ってそうそういないと思うんですけど、やっぱり自分の声を生かして、(「長い夜」という曲で)自分の賭けに勝ったんじゃないですか?」
「(「長い夜」がそれまでの松山千春のイメージと違っていて)え?これ、シングル、新しい曲?と思ったのを覚えていますね。”カッコいいじゃん”って思いましたよ」
「(「長い夜」がヒットしている時に松山千春を)野音で見てるんですけど、”アルフィーも叙情派フォークから卒業かな?”ってちょっと思ったことがあった」
「長い夜」の歌詞評コーナーで
「ロマンチックなラブソングですよね。とてもコンテストで審査員に横暴な言葉を吐いた感じはないですよね、この歌詞を見ると」
「彼(松山千春)の魅力って言うのは、(中略)作品をみると繊細じゃないですか。だからこれはあえて自分をオーバーに言っているのかな?って思います」
「作品とかミュージシャンとしての技量とか歌唱力とかをみると、決して横暴なだけではあんな曲作れないし、歌唱力も、ああいうものは出来ないんじゃないかと思います」
「サウンドがストレートなロックサウンドじゃないですか。それにこういうシンプルな歌詞を乗せるってことは、やっぱり言葉が入って来ますよね。で、また彼の声ですから。出るからすごいよね。こういう高音をずっと持続させて歌うっていうのはなかなか難しいですよね。持って生まれたものじゃないですか。それを生かせてる曲ですよね」
「僕等(THE ALFEE)三人で彼の東京の新宿厚生年金でやった最初のコンサートを観に行ってるんですけど、すごかったですね。アカペラで始まって歌って幕が上がって。圧倒的な声の力っていうんですか、それに圧倒されました。あとMC(トーク)の力もありましたけど。MCも面白い」
「やっぱりお客さんのニーズに応えるってことはエンターテイナーとしては一流の証じゃないですか」
もちろんこの手の歌番組で、紹介する歌手や楽曲をコメンテーターが悪く言うはずはないが、高見沢さんが本心から松山千春のことを称えてくれていることが伝わり、有り難かったし、嬉しかった。
一般論として、常に自分が一番、と思いがちなこういう世界は、ともするといわゆる同業者を称えることはあまりしないかもしれない。
松山千春を称える高見沢さんの人間的な大きさを感じて、さわやかな気持ちで観終えた。
(2023年9月24日加筆)
2023年9月22日にテレビ朝日系列で放送された「高嶋ちさ子2023ザワつく!音楽会SP」の中の▽さち子大好き‼秋の昭和歌謡曲というコーナーで、松山千春の「長い夜」も放映され、上に挿入した真駒内での「長い夜」映像が流れた。
私の中で映像での「長い夜」の起点は1981年の日比谷野外音楽堂でのそれ(以下一部)。当時ザ・ベストテンで放映された。
そして本文に挿入した真駒内での「長い夜」だが、もうひとつ気に入っている「長い夜」。私も会場のよみうりランドEASTにいた1986年8月のデビュー10周年ライブでの「長い夜」
専門的なことは分からないが、声のパワー(厚み)、伸び、艶…それらの点ではこの「長い夜」も上のふたつに劣らない。
(2024年5月18日加筆)
2024年4月から、やかんの麦茶CMで「長い夜」が使用され、阿部寛が口ずさむシーンも。
(付録)2022年の「長い夜」
松山千春 コンサートツアー2022
11月1日(火)丸亀市民会館