＜2021.9.10記事＞
松山千春と長渕剛の楽曲は言うまでもなく、二人以外で、私自身が心から”支えられた”と思った楽曲が何曲かある。浜田省吾「日はまた昇る」、安全地帯「あの頃へ」、馬場俊英「人生という名の列車」…などだが、CHAGE and ASKAの「PDIDE」（1989年）もそう。
９月10日、ASKAがかつての名曲「PRIDE」をリメイクしてシングルとして10月15日にリリースすると告知し、ＰR映像を配信した。
無理な理想を言えば、CHAGE and ASKAとして出して欲しいところだが、ASKA単独であっても、このタイミングでリメイクされて改めて世に出ることを歓迎したい。
ASKA「PRIDE」10/15(金)シングルリリース決定！
ASKA・42年間の音楽活動において圧倒的な人気を誇る作品「PRIDE」。2018年11月、5年振りの全国ツアー『THE PRIDE』の大舞台のフィナーレを飾り、今夏はアスリートとの新たな出会いを導いた『PRIDE』。国内&アジアツアーのステージでは大きな賞賛の中で、圧倒的な存在感を誇り、ファンの間では常に人気投票のトップに輝く作品だ。そして今、人々に大きな勇気を授けたいというASKAの意思のもと、ASKAソロとして2021年度版のリメイク&NEWレコーディングを実施。同時に「この曲のリリースには理解も誤解もあるだろう。しかし、それを語るのは今じゃない」というASKAの胸に込めた言葉を示す。32年の歳月といくつもの思いを越えて、音楽ファン待望の初のシングルカットとなる『PRIDE』が誕生する。
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＜2019.2.22記事＞
1998年にリメイクされ、シングル「この世で君が一番好き」のカップリングとしてリリースされてはいるが、最初は1977年リリースの松山千春ファーストアルバム『君のために作った歌』の２曲目に収録されているだけだった「大空と大地の中で」。
今や、北海道をイメージする松山千春の代名詞的な、日本のスタンダードと言ってもいい曲となった。名曲は多くの人々の心の中に入り込み、歩き始め、時代を越えていく。
CHAGE and ASKA「PDIDE」もまたそういう楽曲だと思っている。
シングルではない。1989年８月にリリースされたアルバム『PRIDE』の２曲目に収録されているだけだったが、おそらくファンの皆さんからの支持は、全楽曲の中で１、２を争うだろう。
私にとっても”支えられた”歌。2003年３月、横浜アリーナで聴いた「PRIDE」は嬉しかった。
失恋による悲しみの顔をしているが、根底では、逆境に屈せず仁王立ちしている一人の人間を支える、まさに「PRIDE」を歌っていると捉えてきた。
傷つき、打ちのめされた時の心境と情景、自分自身との葛藤の後、再び前に進もうとする心意気を、芸術的と言っていいほど見事な表現で綴っている。
今となれば、肩に力を入れて、200％の自分を投影して聴くことはない。
肩の力が抜け、等身大の自分で穏やかな気持ちで聴くことができる。かと言って、手放せないものとしての「PRIDE」はまったく変わらない。
「哲学と言っても難しいことじゃないんだ。たとえば、市井の一ご婦人が生活の中で”私はこれだけは譲れない”というものを持っている。それが哲学である」とある人は言われた。
「PRIDE」はまた「哲学」とも言える。「夢」と置き換えられる場合もあるかも知れない。
「こんなに苦しい思いをしても、それでもお前はそれを捨てないのか。それを掲げて、歩き続けるのか」―逆境に置かれた時、辛酸を舐めた時、もう後がないという状況に置かれた時にこそ「PRIDE」は鮮明になる。
思い上がりでも何でもない。口に出せず、呑み込んで自分の肚に収め続けることもある。
世間の足の引っ張り合いや人間の心の浅薄さなど歯牙にもかけず、もっと深いところを見つめて、黙って自分の決めた道を歩いていく。
思うようには いかないもんだな
呟きながら 階段を登る
夜明けのドアへ たどり着いたら
昨日のニュースと手紙があった
折れたからだを ベッドに投げ込んで
君の別れを 何度も見つめてた
伝えられない事ばかりが
悲しみの顔で 駆けぬけてく
心の鍵を壊されても
失くせないものがある プライド
光りの糸は レースの向こうに
誰かの影を 運んで来たよ
やさしい気持ちで 目を細めたとき
手を差しのべる マリアが見えた
何が真実（ほんと）か わからない時がある
夢にのり込んで 傷ついて知ること
誰も知らない 涙の跡
抱きしめそこねた 恋や夢や
思い上がりと 笑われても
譲れないものがある プライド
僕は歩く 穏やかな愛で
白い窓辺に 両手を広げた
伝えられない事ばかりが
悲しみ顔で 駆けぬけてく
心の鍵を壊されても
失くせないものがある
誰も知らない 涙の跡
抱きしめそこねた 恋や夢や
思い上がりと 笑われても
譲れないものがある プライド