11月25日の日経新聞コラム「春秋」は面白かった(以下全文引用)。

 

「小鳥遊」を「たかなし」とは読めない。名前を呼ぶ時、読む時に意味で考えない。

 

私の名字も珍しい部類に入るため、昔からよく読み間違えられた。いろんなパターンの読み間違いがあったが、だいたい3パターンぐらいにまとめられる。字数が同じだけ、その3パターンのどれで呼ばれても私は反応できないほど原型を留めていない読み方もある。読み間違いが続くと、時々不愉快になる(笑)。

 

キラキラネーム、今は一時期ほどのブームは去ったようだが、私の長女、長男が幼稚園から小学校の頃、教室などに貼ってある子どもたちの名前の多くを読めなかった記憶がある。

 

私の名字の読みにくさの反動でもないし、キラキラネームに対抗するつもりもなかったが、長女、長男には、現在から見れば”古風”と言ってもいいトラディショナルな名前を付けた。お陰で「へぇ~、今時こういう名前のお子さん、いないね~。昔みたいだね~。私たちにしてみると読みやすくてありがたいよ」と近隣のおじいちゃん、おばあちゃん方からは大歓迎された。

 

 

読み方が難しい名字の一つに「小鳥遊」がある(春秋)
2020年11月25日   日本経済新聞 

 読み方が難しい名字の一つに「小鳥遊」がある。正解は「たかなし」。小鳥が遊べるということは天敵のタカがいない。というわけで「タカ無し」。なぞなぞの答えを聞くような遊び心に驚く。音読み、訓読み、さらにはトンチまでが駆使される名前の奥深さであろう。
▼戸籍に記載される氏名に、漢字だけでなく読み仮名も付ける方向で法務省が検討を始めるという。政府をあげて取り組む行政手続きのデジタル化の中で、大きな課題として浮上したようだ。確かに読み仮名が登録されていなければ検索はしにくいだろうし、銀行など他のデータベースと照合する際にも手間がかかりそうだ。
▼だが難読な名字に加え、近年は思いもかけない読み方をするキラキラネームもある。そもそも氏名の読みについて明確なきまりはないそうだ。理屈上は「田中太郎」を「すずきはなこ」と読むこともできるかもしれない。国が勝手に読みを決めるわけにはいかず、かといって全国民から届け出てもらうと大変な作業になる。
▼デジタル化の旗を振る菅義偉首相にしても、「よしひで」は難しい読みといえよう。漢字の名字を見ただけではご本人なのか、民主党政権時の菅(かん)(直人)首相なのか区別がつかない。改めて考えると、氏名とは何とも不思議なものである。ことを急いで、名前に込めた思いや文化を傷つける結果にならぬようお願いしたい。