5月10日(日)の松山千春ON THE RADIOでは三人(レイ・チャールズ、スティービー・ワンダー、サム・クック)の黒人シンガーの歌をかけた。

 

個人的に洋楽はまったく聴かないが、せっかく松山千春が紹介してくれたので聴き入ってみたが、とくにサム・クックの「A Change Is Gonna Come」、人種差別なき世界を夢見たこの曲は、公民権運動指導者であるマーティン・ルーサー・キング博士の叫びと相通じるほど強いメッセージが伝わってきた。

 

その曲をかける前に松山千春は次のように語った。

 

「今回は洋楽で俺が好きな黒人シンガー。なにせアメリカでは人種差別などいろいろありましたからね、その中でやっぱり黒人が歌を歌っていくということがどれほど難しかったか。白人優位の世の中だったから。そんな中で、レイ・チャールズ、またスティービー・ワンダーは今でも(活躍している)。音楽シーンでは黒人ボーカリストがどんどんどんどん、1950年ぐらいかな、出てきた中で、俺が好きな曲を聴いてもらっている。次はサム・クック。サム・クックは残念ながら33歳で亡くなってしまったんだけど。彼が残した「A Change Is Gonna Come」。いわゆる変化、転機がやってくる(そういう歌です)」

 

 

松山千春が言うように、サム・クックは1964年12月11日、ロサンゼルスのモーテルの一室で銃撃され不可解な死を遂げている。享年三十三。

 

サム・クック自身も人種差別により不当逮捕されていることから、黒人の権利に対する意識が高く、公民権運動にも積極的な関わりを持ち、マルコムXやモハメド・アリとも親交を深める。

 

「A Change Is Gonna Come」は、ボブ・ディランの「風に吹かれて」に影響を受けて生まれた。

1964年3月にリリースされたアルバム『Ain't That Good News』に収録されているが、この曲が社会から多くの支持を集め始めたのを見る前に、クックは前述の死を遂げた。

 

必ず時代は変わる。絶対に転機は訪れる―人種差別のない平等な社会と時代の到来を夢見たクックのメッセージソングであった。ちなみにこの歌の「チェンジ」が、アメリカの前大統領、バラク・オバマ氏の「チェンジ」の由来だとされている。

 

以下、歌詞全文(和訳あり)。

 

 

I was born by the river in a little tent
Oh, and just like the river I've been running ever since
It's been a long, a long time coming
But I know a change gon' come, oh yes it will


俺は川沿いのテントで生まれた。
その時から川のように、俺は流れて行ってるんだ。
長い間だった、でも変化は起こると信じてる。

It's been too hard living, but I'm afraid to die
'Cause I don't know what's up there beyond the sky
It's been a long, a long time coming
But I know a change gon' come, oh yes it will


生きるのは辛いが、死ぬのは嫌だ。
空の上に何があるのか分からない。
長い間だった、でも変化は起こると信じてる。

I go to the movie and I go down town
Somebody keep telling me don't hang around
It's been a long, a long time coming
But I know a change gon' come, oh yes it will


映画館に行ってダウンタウンに行った、
誰かが言い続けてる、「ブラブラするな」って。
長い間だった、でも変化は起こると信じてる。

Then I go to my brother
And I say, "Brother, help me please."
But he winds up knockin' me
Back down on my knees


俺は兄弟の所を訪ねて、「頼む、助けてくれ」って言った。
でもあいつは結局俺をいじめて、俺は崩れ落ちてしまう。

There been times that I thought I couldn't last for long
But now I think I'm able to carry on
It's been a long, a long time coming
But I know a change gon' come, oh yes it will


俺はもうダメだって思った時はあったが、
今は俺はまだやれるって思うんだ。
長い間だった、でも変化は起こると信じてる。

 

____________________

(出典)

・サム・クックが残したメッセージ・ソング「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」(2017.12.11/佐藤剛/TOPthePOP)

・名久井翔太の音楽文章ラジオ(2018年5月20日/Sam Cooke - A change is gonna come)

・サム・クック(Wikipedia)