<2024.03.11>公式ライブ映像挿入

<2020.04.27>起稿

 

大学時代の友人からメール、電話が立て続けに入った。

 

「テレワークなどなく、毎日通常どおり仕事。体調が完全に回復せず、食欲も落ちてきて、働くのが苦しい日々が続いている。具合が悪くて、週末は一日横になって休んでいる」

 

彼は大学時代、海外留学し、大学院まで出て就職した。海外出張も多く、力を生かして元気に活躍していた。

 

ところが、不運も重なりあれから4度のリストラに遭う。普通に見れば、そういう運命なんだ、で片付けられてもおかしくない。

 

負けるわけにはいかない。家族のため、自分のため、長年リストラと再就職活動の「戦い」を続けてきた結果、心身ともに不調になり動けなくなった。

 

「今もまたベッドから起きられず、職場に行けていない。働きたいのに体と気持ちが付いてこない。これで失職か。これから先、どうやって生きていけばいいか」…メールが入る。

 

その都度電話し、会いに行き、声を掛け合ってきた。

 

 

励ましの「励」という字は「万」と「力」で成り立っている。相手の状況、心境を深慮しつつも、根っこの部分は、大切な人を思う一生懸命な励ましは、相手に万の力を与えると信じている。
 
失意の中にいると、自分から見える狭い世界がすべてのように思い込む。悪い時はさらに悪いことが重なりながら、自分だけがこういう状態に置かれていると嘆く。

 

「よく分かる。俺もそういう時があった」

そんな自分から抜け出て、両手を広げ青空を見上げて大きく深呼吸することも大切で、それと同じように、ロケットのような形をした樹があるあの丘に登って、街を見下ろさないかと誘う。

周りの人がどんどん進んでいって、偉く思えてくる。自分ひとりが取り残されたような気持になる。「俺だけか…」。打ちひしがれ、自分で自分を追い込む。

そんな時―改めてなぜ自分がその道に生きるのか、なぜそれを成し遂げたいのか、自分の夢は何なのか―原点に立ち帰ることが大切で、「遥かなるものを戻し合おうか」と相手に語り掛ける。

 

もちろん今の彼にはそんな言葉は受け入れられない状態だから、すぐにそういう言葉を伝えるわけにはいかない。まずは聞く。ただただ聞く。

人生100年時代。元気に動けるのは75歳ぐらいまでだとしても、大丈夫。あくまでまだ道の途中、人生の途上。人生の旅程の何処か一場面。

 

どうあれ、今のそこだけ切り取って、すべてが終わるもんじゃない。まだまだこれから。

 

自分を責めずに、とにかく体を治すことを最優先に。

…彼への思いと、彼の状況に思い巡らし自分の中でかけるべき言葉が出たり入ったり。結局短い言葉を彼に伝えた。

 

 

CHAGE and ASKA「ロケットの樹の下で」

 

2001年4月リリースの、ユニバーサルミュージック移籍第一弾シングル。この作品からアーティスト名の表記が 「CHAGE and ASKA」に変更された(&をandに変えた)。

 

 

同年12月のアルバム『NOT AT ALL』にも収録されている。作詞・作曲はASKA。この曲から作詞作曲のクレジットも飛鳥涼からASKAに変更、統一された。

 

ASKAが同級生を励ますために作った歌と言っているとおり、ASKA一流の見事な比喩表現を交え、人生の本質の一端と思われる内容を盛り込みながら、友だちを励ますために一生懸命語ろうとする様子がよく伝わる歌詞。

 

「ほんの小さなことばかりしか 僕には残ってない

自分がどんな奴だったかも 忘れてた」

 

「少しくらいは自分のこと なんとかしようと

眠れない朝に出逢った あの街の匂いだ

あのころに見た空だ」 

 

―同時にASKAの「帰宅」も聴こえてくる。

 

この歳になって、自分と向き合う。むしろ、この歳にならないと、本当の意味で自分と向き合うことはできないのかもしれない。

 

 

ASKA - ロケットの樹の下で


「そこから見えるすべてが今の俺だ」と笑う
言葉を選ぶと なんだかお前を寂しくさせるかな

無駄に孤独を 集め過ぎたね
切り取られた場所を出て

あの町を見下ろさないか
返したい言葉があるんだ

ここは途中だ 旅の何処かだ
ひとつだけ多くても

ひとつ何か足りなくても
終わるもんじゃない


悪い事がいくつか つづいただけさ
お前のコピーも
大人になれば解ってくれるさ

時に周りの奴が 偉く思えて
取り残された気持ちになって

自分を使えなくなる
遥かなるものを戻し合おうか

ここは途中だ 旅の何処かだ
ひとつだけ多くても

ひとつ何か足りなくても
終わるもんじゃない

突然の雨 合図もなしに
ゴールを争うような

勢いで駆け込んだ
古いロケットのような

あの丘の樹の下で

ここは途中だ 景色は変わる
ここは途中だ 旅の何処かだ
ひとつだけ多くても

ひとつ何か足りなくても
終わるもんじゃない

あのロケットの樹の下で

 

 「ロケットの樹の下で」

(ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA

-40年のありったけ- in 日本武道館)

 

 

 

 

 

<トップ写真>

【撮影】@tsubassa_photoさん
【タイトル】クリスマスツリーの飾り
【撮影日時】2019-10-01
【撮影場所】北海道美瑛町

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