馬場俊英「人生という名の列車」(2006年)。

 

ほぼ同じ時代を生きて来た私にとっても自分史的な歌で、いつ聴いても過ごしてきたそれぞれの時代や家族、友だち、ふるさとを重ねることができる。

 

 

長い長い歌詞だけれど、それぞのフレーズにドラマがあり、馬場俊英の思いがほとばしっている(歌詞全編はリブログ拙稿内)。二番と言っていいのだろう。次のように歌う。

 

人生という名の列車が走り  

ある土曜日の夜に辿り着いた街はブラウン管の中に
改札を抜けるとそこはお茶の間で 

8時ちょうど 全員が集合 みんなでオイース!
 

「タライに気をつけろ!」 それがその街での教訓
歯も磨くよ 宿題もするよ 約束さ カトちゃん
笑い疲れて お茶の間のコタツで知らずに眠ってしまった
たとえばつまり そんな温もりに守られた時代だった 

昭和四十八年

 

さらに、八番と言っていいのだろうか。次のように続く。


この戸惑いと不条理の世界 人間社会にようこそ
ウソつかず 誤魔化さず どんなときも人に優しく 決して腐らず
わかってるし気をつけてるし頑張ってる 

でも出来ないよ カトちゃん
でもどんなときも信じる事 決してあきらめないで
向かい風に立ち向かう 勇敢な冒険者でありたい 

平成十八年
 

テレビの前、子どもの頃、コタツに入って爆笑していた。そこにはいつも両親がいて、妹もばあちゃんもいて、今思えば家族の温もりにあふれ守られていた時代だった。

 

時は流れ、自分も家庭を持った。愛する人と二人のかわいい道連れができた。

自分の人生であって、自分の人生でない、かけがえのない家族のための日々が生まれた。

 

必死に社会で戦っている。

歯も磨いてる、宿題もやったよ、風呂にも入ったよ。

でもなかなかうまくいかないことが多いよ、カトちゃん。

 

小さい時から「8時だョ!全員集合」

3月29日深夜、志村けんさんが亡くなった。悲しい。ご冥福をお祈りします。