3月29日。予報どおり東京は朝から雪。ほぼ満開の桜が残る中、桜と春を惜しむなごり雪と言っていいのか。朝から近くの公園に桜と雪を撮影に行った。

 

 

中高時代、雪が降ると寒い自分の部屋でよく松山千春の「雪化粧」を弾き語りした。

”座右の曲”とまでは言わないが、12、13歳の頃からずっと愛聴してきた松山千春の世界に満ち溢れる名曲である。

 

「雪化粧」は、1978年10月リリースのサードアルバム『歩き続ける時』A面2曲目に収録されているものと、1997年にシングル「クリスマス」のカップリングとしてリメイクされたそれがあり、アルバム『起承転結8』に収録されている。

 

 

後者の歌詞は一ブロックを歌っていないところがある(以下の歌詞は1978年Ver.)。アレンジは前者は安田裕美氏。ギタリストらしいアコースティックギターメインのアレンジ。後者は萩田光男氏。両者とも寒さと、静かに雪が降り続く様をよく表現していると思う。

 

歌詞に時間や情景的な変化はほとんどなく、寒い部屋の中で肩寄せ合っている二人のほんの一瞬の時間を歌っている。

 

3月25日にリリースされた『松山千春コレクション「思い出」』のDISC-5にも収められている。

同アルバムにはいくつかの楽曲に関する本人インタビューがブックレットの巻末に掲載されている。

 

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―現在でもコンサートの最後に歌われる曲として有名です。愛している者同士のひと時なのですがとても寂しく聞こえます。

 

(前略)歌う時にエネルギーがいる曲なんだよな。「何が悲しいとかつらいわけじゃない」って歌っているわけだけど、悲しくてつらいんだよな。でもその抱きしめている瞬間、外ではただ、雪が降っている。その二人に「せめて雪化粧」と。

 

―素晴らしいです。そしてこのアレンジ、途中からベースが8部で成っているところなど、しんしんとした雪の情景が見事に浮かびます。

 

これは萩田(光雄)くんだな。彼のアレンジはアレンジャーとして飛び抜けていたからな。最初に出した時(『歩き続ける時』収録)のアレンジはアレンジでいいんだけど、そのイメージを超えて素晴らしい作品にしてくれたよな。

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「雪化粧」、弾き語りたくなる。

 

社会がどんな状況であれ、桜は花を咲かせて人々の気持ちを明るくしてくれる。

普通ならこの時期にまず降らない雪も、外出自粛のなか、また風情がある。

 

コロナと戦う世界中の人たちに、せめて雪化粧。

 

 

 

町は とても 静か 白い雪が降り続く 

寒い部屋の隅で 僕は溜息 

 

そんな時も君は 長い髪をかきなでて 

僕に笑いかける 寒くはないと 

 

何が悲しいとか つらいわけじゃないけど 

ただ 今は君のこと抱きしめていたい 

 

強く 強く 強く 僕のこの両腕で 

君を君を君を 愛し続けたい 

 

僕の胸の中で 涙こらえきれないね 

そんな君がとても いじらしく思う 

 

何が悲しいとか つらいわけじゃないけど 

ただ 今は君のこと抱きしめていたい 

 

町は とても 静か 白い雪が降り続く 

僕と君のために せめて雪化粧 

 

何が悲しいとか つらいわけじゃないけど 

ただ 今は君のこと抱きしめていたい 

 

強く強く強く 僕のこの両腕で 

君を君を君を 愛し続けたい 

愛し続けたい