先日観た中島みゆきさんのライブ映像「旅歌-中島みゆきコンサートツアー2007‐」

その中で「誕生」「命の別名」とともに強いインパクトがあった「宙船(そらふね)」

 

この映像作品リリース当時、YouTubeで観たことがあり、話題になっていたと記憶する、サイドボーカルの宮下文一さんとの”掛け合い歌唱”は超見事。

 

 

この歌、やっぱり歌詞の力によるところ絶大で、聴いているだけで力がみなぎってくる。一歩踏み出す勇気が湧いてくる。中島みゆきさんはこの「宙船」で「第48回日本レコード大賞」の作詩賞を受賞している。

 

「宙船」。2006年、アイドルグループTOKIOに提供し、テレビドラマの主題歌としてロングヒットした。本人は2006年11月リリースのアルバム『ララバイSINGER』でセルフカバーし、ベストアルバム「中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』」にも収録されている。

 

小田和正さんは「今 船は真白にかがやく 帆を高く上げて あとはただ強い風と君を待つだけ」「風を君を待つだけ」と歌う。

 

長渕剛は「白い帆を高く上げ たちはだかる波のうねりに突き進んでゆけ! たとえ雷雨に打ち砕かれても 意味ある人生(みち)を求めて 明日船を出せ!」「Captain of the Ship」と歌った。

 

自身を船に、現実社会を海とそこに巻き起こる荒波に例え、そこを航海していくこと自体が人生だと歌う。「宙船」もそう。海は宇宙ということかもしれないが、スケールが大きい。

 

「何の試験の時間なんだ 何を裁く秤なんだ」―とかく人の言動を批評し決めつけたがる人間がいる。そういう人間は決まって、これまでの人生の中で自身を深く見つめる機会を持てていない。年齢を重ねていても、内面は未成熟。自分の基準だけで人を決めつけていることに気づかない。そんな人間の言動にこちらが振り回されることはない。

 

「何が船を動かすんだ」―何のために自分は生きるのか。やりたいことがある。成し遂げると決め誓ったことがある。逆境に置かれ悩み苦しむ時こそ、そこに立ち戻り確認する。

 

「その船は自らを宙船(そらふね)と 忘れているのか

その船は舞い上がるその時を 忘れているのか」―忘れてはいけない。成すべき使命があり今ここにいる。自分の中には計り知れない力を秘め、存在自体が尊い。必ず舞い上がる時が来る。その時まで自暴自棄にならずじっと時を待つ。力を蓄える。

 

「その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ」―助けてくれる人がひとりもいなくなり、ただただ孤独を感じる時があっても、泣きながらでもいい、自分の力で自分の人生を歩いてゆけ。

 

「おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな」―仮に最悪の事態だったとしても、おまえの身に起こったことをどう捉えるかは、どこまでいってもおまえ自身。人や環境のせいにしたり自分を追いやった人間を恨み続けることは、それに心奪われ、おまえ自身を消し去ることであり、自分のオールをおまえから投げ出していることと同じなんだ。

 

「その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ」

 

聴いているだけで力がみなぎってくる。

一歩踏み出す勇気が湧いてくる。

 

 

その船を漕いでゆけ 

おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に 

おまえのオールをまかせるな

その船は今どこに 

ふらふらと浮かんでいるのか
その船は今どこで 

ボロボロで進んでいるのか


流されまいと逆らいながら
船は挑み 船は傷み


すべての水夫が恐れをなして逃げ去っても
その船を漕いでゆけ 

おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に 

おまえのオールをまかせるな



その船は自らを宙船(そらふね)と 

忘れているのか
その船は舞い上がるその時を 

忘れているのか


地平の果て 水平の果て
そこが船の離陸地点


すべての港が灯りを消して黙り込んでも
その船を漕いでゆけ 

おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に 

おまえのオールをまかせるな

何の試験の時間なんだ 

何を裁く秤(はかり)なんだ
何を狙って付き合うんだ 

何が船を動かすんだ


何の試験の時間なんだ 

何を裁く秤なんだ
何を狙って付き合うんだ 

何が船を動かすんだ


その船を漕いでゆけ 

おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に 

おまえのオールをまかせるな
その船を漕いでゆけ 

おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に 

おまえのオールをまかせるな