小田和正「そのままの君が好き」
1992年7月リリースのシングル。アルバム『MY HOME TOWN』『自己ベスト-2』『あの日あの時』収録。
 

東映アニメ映画『走れメロス』のテーマソングにもなっているとおり、悩む友を励まし、信じ待つもう一人の友の視点から歌っているのだろう。

 

友情がテーマか。友に送るエール。

苦境にいる時は、不安な気持ちが先立ち、息をひそめるように怯える。

追いかける夢は、不安だからこそ流れる時の揺らぎの中で見失いそうになる。


何も見えなくなる。寂寥感、孤独感。周りの人たちはみんな先に行って、自分ひとりだけぽつんと取り残された気持ちになる。

 

苦悩の風が吹くのはいつも自分の心の中。

 

傍から見てどんなに大変そうな環境の中にいても、どこ吹く風と、元気に頑張る人がいる。

その逆の人もまた。

 

起こった出来事を自分がどう捉えるか。意味づけるか。そこにすべてがある。

分かって欲しいと思って生きることはない。
ただ、必死に生きる人を見ている人がいないわけがない。

 

「しずまれ心を吹き抜ける風よ」

 

「弱いのは君だけじゃない」から。

「誰れも君を責めないから」
「やがて時はゆく」から
「ここにいるから いつもいるから」
「そのままの君が好き」だから
「いつも遠くを見ている 大きな心が好き」だから
「誰れかがいつも見ている」から

大丈夫。今の苦悩も決してそのままではない。必ず時はゆく。

 

勇気づけられ、涙溢れそうになる。

優しさあふれ、強さみなぎる見事な歌詞である。



そのままの君が好き どんな時も変らないで
いつも遠くを見ている 大きな心が好き

弱いのは君だけじゃない その涙僕が拭く
そんなに追いつめないで 誰れも君を責めないから
 
しずまれ心を吹きぬける風よ
やがて時はゆく ひとりにさせない

その手を離さないで 冷たいね 哀しいね


君がゆく 僕がゆく すべて包んで時はゆく
果てしなく続く道 誇りを胸に抱いてゆく

追いかける夢は 流れる時の
絶えることのない 波にゆられて
 
何も見えなくなる 僕らだけ残されて

同じ時を生きて 同じこと感じて
不安な気持に 息をひそめてる
ここにいるから いつもいるから
この腕の中へ駆けてきて

追いかける夢は 流れる時の
絶えることのない 波にゆられて
何も見えなくなる 僕らだけ残されて

しずまれ心を吹きぬける風よ
やがて時はゆく ひとりにさせない
その手を離さないで その手を離さないで

そのままの君が好き どんな時も変らないで
いつも遠くを見ている 大きな心が好き

君が僕の中にいること いつも忘れないで
誰れかがいつも見ている 走り続けてゆく僕らを

 

 


 


 

(関連拙稿)
セットリスト/小田和正 6月26日『ENCORE!! ENCORE!!』(@さいたまSA)