感覚的に今年の梅雨は激しい雨が大量に降る感じがする。

全国各地、豪雨とそれに関連した災害による被害が出ませんよう、お祈りします。

 

井上陽水をリアルタイムで聴いていたわけではないが、中学1年の時にギターでよく練習した「傘がない」(1972年)。井上陽水の代表曲の一つ。

中学生の私にとってはギターコード進行よりも、衝撃的な歌詞に気持ちが向いた。

 

 

いまさら書くまでもないが、当時の日本社会への皮肉も込めているのだろう。

今の私にとっては、世の中で起きている事件などよりも、「君」に会いに行かなければならないのに、「傘がない」ことの方が大きな問題であると歌う。

 

聴き終わると、結果的に世の中で起きている若者の自殺や我が国の将来が大きな問題として引っかかる。

 

松山千春「雨の夜」(1980年9月リリース/「人生の空から」のカップリング)

夢野旅人さんのデータベースによると、1990年秋以来29年間ライブで歌われていない。

 

 

「もしも雨が今すぐやむなら 君のもとへ駆け出したいけど」と歌う。

それほど会いたくて、傘があるのなら雨の中でも行けばいい。

やっぱりこの主人公にも傘がないのだろう。

 

井上陽水の頃と時代状況が違うことも影響してか、どうあれ松山千春得意領域の歌詞の世界からか、「傘がない」のような社会性はなく、どこまでもプライベート、ひとりの主人公の「君」を想う切ない気持ちが歌われている。

 

雨が続くと、気持ちもふさぎがちになる。

君の気持ちが離れていくようで不安になる。

 

雨が続くと、ギターの音は湿ってくる。切れがなくなり丸く澱んだような音になる。

そんな音でギターを弾いても君への思いは募る。

 

雨が止むならすぐにも君のもとに行って気持ちを確かめたい。

でも傘がないのだろう。

 

歌われている内容は日常的で平凡。何気ないシーンとそこでの自分の気持ちだけを歌う。

他愛もない世界とも言えるが、むしろそのためか、こうした初期の松山千春の歌詞には、惹きつけられ、ついその世界に入ってしまうところがある。

 

 

雨が しとしと降りしきる夜は
君が なんだか 離れてゆきそうな

そんな気持がつのるばかりです
タバコ ふかして 窓をにらんでも

もしも雨が今すぐやむなら
君のもとへ 駆け出したいけど

 

 

雨が しとしと 降りしきる夜は
やすい ギターも 湿りがちになり

 

爪弾くたびにさびしい気持が
歌うほどに君を思い出す

もしも雨が今すぐやむなら
君のもとへ駆け出したいけど


雨が しとしと降りしきる夜は
部屋の明かりを すっかり消しても

 

雨が心を 急かせてるようで
今夜はとても眠れそうにない

 

もしも雨が今すぐやむなら
君のもとへ駆け出したいけど