現在展開中の全国ツアーに関する記載あり
松山千春アルバム『ISHI』。1989年11月リリース。
「遠い記憶」「燃える思い」「それだけの愛」の3曲は今も変わらず気に入っている曲。
1990年2月、ローリング・ストーンズが東京ドームで全10日間のコンサートを行った。
ストーンズ初来日というこもあり、前年からその話題で盛り上がっていた。
安っぽい憶測で書けば、タイトル曲の「ISHI」はそのローリング・ストーンズのバンド名にヒントを得て、そこから歌詞を生み出していった気がしている。
そのアルバムの5曲目「街の灯り」。
現在展開中の全国ツアー。ここまで12会場を終えたが、そのうち2会場(石川、愛媛)でこの「街の灯り」を歌っている。
松山千春著「月刊松山SAGA 3」(2001年4月刊)には「街の灯り」の解説が載っている。
(要旨・抜粋)
俺は、家の窓からこぼれてくる明かりにも弱い。というのも、俺にとって街の灯、家からこぼれてくる明かりというのは、幸せの象徴でもある。街の灯を眺めているだけで胸が切なくなり、また、心が満ち足りた想いになる。
子どもの頃にこんな経験をしたからだろう。寒い朝。外は吹雪いている。母親が俺に買い物を頼む。足寄は、かなりの距離を歩かなければ店はない。行きたくない。でも、母親の頼みだ。買い物袋をさげて店まで歩く。
帰り道。体は冷えきり、ブルブル震えながら雪道を歩く。とんでもなく寒い。家はまだか。早く帰りたい。その時、ふと顔を上げると雪道のはるか先にポツンと家の明かりが見える。自分の家の明かりだ。心がホッとする。もうすぐ家だ。父さんが母さんが姉弟が、みんな待っている・・・。
街の灯り。家の窓からこぼれてくる明かり。そんな灯りがもたらす温かさは、俺の抱える幸せの体温でもある。
街の灯り、家の明かり…後年(2008年)作られる「我家」にも共通して、なくてはならない要素だろう。
「街の灯り」…今でもひっかかりはなく、好んで聴く曲ではない。
個人的には、その歌から伝わってくる世界観と、湧き出た感動をストックしていけばよいと思っているので、作り手が「ぱっと聴くとそうは聴こえないかもしれないが、実はこういう思いで作ったんだ」的な話しは好まない。
・・・が、当時上の解説を読んで、2008年「我家」を聴いて、共通する松山千春の原体験(こういう話しが個人的には好きなこともあるが)がこの歌にもあるのだろうと分かった後は、少し聴き方が変わったのは確か。
街の灯りを遠くに見つめ
何度でも何度でもやり直せるわ
そんなお前の無邪気な声に
目を閉じてこみ上げる涙を止めた
離したくない離れたくない
愛を頼りに生きてみようか何もかもをかけて
楽しいだけの毎日なんて
つまらないありえない夢のお話
そんなお前のあどけない顔
ひとすじの鮮やかな涙がつたう
街の灯りよにじむ灯りよ
どうかこのまま二人の愛を優しく見守って
街の灯りよにじむ灯りよ
どうかこのまま二人の愛を優しく見守って