もう一度 生まれ変わるなら 

もう一度 自分になりたい
またここに生まれて もう一度 君に会いたい

羊たちの群れが 眠りに就いた頃
胸の中のオオカミが 目を覚ます
月を見上げて 本当の自分に戻る

道に迷い 地図はちぎれて 

でもまだ 旅は終わらない
隠すことや 誤摩化すことに疲れたなら 

少し休もうじゃないか


頬には冷たい風が吹きつけている 

でも胸に暖かい風が吹いている
傷ついて 苦しんで 優しさと 淋しさを知る

愛に迷い 胸は張り裂けて 

でもまだ 旅は終わらない
飾ることや 取り繕うことに飽きたなら 

泥臭く歩いてごらん

何もかもに疲れ果てて 

誰もみな どこかに消えてしまって
もう何もできなくなってしまったなら 

新しい旅を始めよう

月影のオオカミに 

そっと耳を澄ましてごらん
小さな 小さな声で ほら 

何か歌っているだろう

さあ胸に 手を当ててみて 

ほら君のオオカミの歌が聴こえるだろう
荒野に鳴り響く 新しい夜明けの歌なのさ

道に迷い 地図はちぎれて 

でもまだ 旅は終わらない
隠すことや 誤摩化すことに疲れたなら 

新しい旅を始めよう


愛に迷い 胸は張り裂けて 

でもまだ 旅は終わらない
どうしても ひとりぼっちになった夜

哀しく 月に吠えてくれ

ラララララ 哀しく 月に吠えてくれ

 

 

必死に頑張ってきて、いくつものことを成し遂げ、新しいことを実現してきた。

まっすぐ突き進もうとする時には、それを妨害しよう、頭を押さえつけようという力が必ずセットで働く。そういう力が働いたことは、頑張った証拠である。

 

自分は何も変わっていないが、苦境に見舞われる時がある。

その時を境に、周りの人がいなくなる。

ある時を境に、やることなすことすべて裏目に出る時がある。

 

それをくそ真面目に受け止め、苦しんで悩んで、疲れ果てる。

「もういいか…」―そんな気持ちになったら、少し休めばいい。

 

なぜ俺はここで生きるのか。なぜ俺は苦境と戦うのか。何のために。

もがき抜いた先に、もう一人の自分の声が聞こえてくる。

「それでも俺は…」―その声こそが本当の自分の心であり、志。

 

やっぱりその志を掲げて、また歩き出す。その時である。それまでのもがきや苦しみ、悲しみが全部自分のものになり、人の気持ちを理解できる優しさが、懐の深さが自身に宿る。

 

道に迷い、進むべき道を指し示す地図さえちぎれ果てたような気持になる。

「終わったな…」

「それでも俺は…」―自分の志のままに歩く旅は終わらない。終わらせない。

 

歩いたその先に、今この自分の経験の意味が分かる。

自分の人生の全体像が見えてくる。

 

どうしてもまたひとりぼっちだと感じた時には、何度でも自分の声を聞けばいい。

 

馬場俊英「オオカミの歌」

 

2012年4月にリリースされた4曲入りシングル「EP1~平凡」に、2013年10月リリースのアルバム『馬場俊英LP1〜キャンディー工場』にも収録(DISC1 13曲目)されている。

 

馬場俊英ワールド。優しさに包まれ、この歌にずっと浸っていたくなるような気持になる。浸りながら、勇気が湧いている。

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2019.4.25記事

2021.5.16一部修正