伝えたいメッセージをどう伝えるか。

 

自分のメッセージを一人でも多くの人に受け止めて欲しいから、あらゆる表現を使う。

主語を変える。立ち位置を変える。用語を変える…その手法は様々。

 

もちろんストレートに表現する場合もあるが、そればかりでは受け手はすぐに先が読めるし、それが積み重なると飽きられることだってある。

 

歌の世界、私が聴く限りの狭い範囲だが、中島みゆきやさだまさしなどは伝える手法に長けているように思う。

 

 

馬場俊英「敗者復活の街」

アルバム『LP1〜キャンディー工場』(2013年10月リリース)のSIDE1の14曲目

 

伝えたい主題は―

 

生きているうちには予想もしなかった逆境、苦境に見舞われる時だってある。

むしろそれは、必死に生きる人、何かを変えようと頑張る人にセットで付いてくるようなところがある。

 

ショックでふさぎ込み、力を失い、”俺はもう終わりか”と打ちひしがれる時もある。

誰かを恨み、環境を嘆く場合だってある。”なぜ、俺だけ…?と思う。

 

どうかそうした気持ちを見ないふりせずに、受け入れて、無理にそこから抜け出そうとせずに、その苦境を過ごして欲しい。

 

気持ちを吐き出し、自分なりに受け止めたら、前を向いてまた歩き出して欲しい。

 

君にはまだまだ為すべきことがあるし、君が必要とされる時が再び、必ずやってくる。

 

決して腐ってはいけない。腐ったらそこですべてが終わる。君自身なんだ。その苦境は、後から見れば君が大きく飛躍するチャンスなんだ。――

 

 (できれは、主題はもう少し短い方がいい)

 

主人公が、あきらめかけ自暴自棄になる友を励ましている。

一見すれば敗者。実はその時自分を大きくするチャンス。ひとつの扉が閉じられた時、また別の新たな扉が開いている。

 

よくある主題。友を思いやる視点から、その主題を伝える。友に向ける優しさと、挫けない思いが伝わる。馬場俊英の良さが溢れる、彼一流の応援ソングである。

 

 

肩で風を切り歩いた

 お前だったけど
時が流れ いつの間にか

落ちぶれてしまった

でかい仕事を切り盛りしていた 

それも今は昔
誰にも真似ができない腕も

用無しの役立たず

愚痴を言うなら 聞いてあげるよ

 いくらでも 好きなだけ
でも今日や昨日がやるせなくても

世の中のせいにするなよ
涙の滴を飲み干したなら 笑い飛ばそうよ

 One More Time


貧乏くじを引いたと思うかい

しくじったと悔やむかい
でもいつかわかるさ お前は今

大きなチャンスの前にいるのだと

目を逸らせばいい 耳を塞げばいい

 気が済むまで 好きなだけ
誤魔化すことに飽きたら そのとき 

お前の敗者復活の歌が聴こえるさ
 

夜明けの街に明かりが点る

もう動き出した者達(ひと)がいる
素敵な明日が必ず来るさ

行ってみようか One More Time

お前の力が必要になるさ

あきらめないで One More Time

 

 

____________

2019.4.21記事

2021.5.19映像挿入、一部加筆・修正、カバー写真変更