(西新宿 2015年11月撮影)
今日先輩の告別式だった。去年秋がんの手術を受け、春に向かうほど快方に向かっていたが、先週容体急変、急逝された。享年六十六。
よく面倒みていただいた。今でも私を呼ぶ声が聞こえる。
「がんになんか負けない」と言われていたお顔、お声は絶対に忘れない。
息をひきとられた時の笑顔は私たち皆を優しく包んでくださった。
春の暖かな日。先輩に縁する多くの方々が会葬に駆けつけてくださった。
悲しい別れの一方で、先輩らしく賑やかで明るい告別式となった。
告別式、火葬から収骨までお供させていただいた。
今の時代からすれば六十六では早いが、人生を完全燃焼しきったお姿は、年齢ではない充実した尊いご生涯だったと思う。
しばし向こうで休まれたら、また帰ってきてください。また一緒にやりましょう。
長渕剛「西新宿の親父の唄」。
昭和が終わり、平成に入った直後の1990年8月リリースのアルバム『JEEP』10曲目。
おそらく長渕剛の歌が一番多くの人たちに受け入れられていた時代。
瀬尾一三氏のアレンジはこの曲が伝えようとする思い出や哀しさ、もどかしさを見事に表現している。
シングルでもなんでもないこの曲の「やるなら今しかねえ」という歌詞は、ある意味で長渕剛を伝える時の代名詞となっている。長渕剛の素直なヒューマニズム溢れる名曲である。
最近では、2014年9月2日、「TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR 2014 ALL TIME BEST」の日本武道館で聴いた。
YouTubeにはこの曲を歌う長渕のいくつかの映像が登載されているが、やっぱり『JEEP』収録時のあの長渕の雰囲気で、あのアレンジで、あの歌い方で歌ってこそ「西新宿の親父の唄」である。
平成が間もなく終わる。
元号が変わろうが、時代や状況が変わろうが、いつも”やるなら今しかねえ”。
続けざまに苦しそうなせきばらいをしてた
西新宿の飲み屋の親父が昨日死んだ
「俺の命もそろそろかな」って
吸っちゃいけねえ タバコふかし
「日本も今じゃクラゲになっちまった」って笑ってた
わりと寂しい葬式で
春の光がやたら目をつきさしてた
考えてみりゃ親父は
いい時に死んだのかもしれねえ
地響きがガンガンと工事現場に響きわたり
やがて親父の店にも新しいビルが建つという
銭にならねえ歌を唄ってた俺に
親父はいつもしわがれ声で俺を怒鳴ってた
錆ついた包丁研ぎ とれたての鯛をさばき
「出世払いでいいからとっとと食え」って言ってた
「やるなら今しかねえ やるなら今しかねえ」
66の親父の口癖は「やるなら今しかねえ」
古いか新しいかなんて
まぬけな者たちの言い草だった
俺か俺じゃねえかで ただ命がけだった
酒の飲めない俺に無理矢理とっくりかたむけて
「男なら髪の毛ぐらい短く切れよ」ってまた怒鳴った
西新宿の飲み屋の親父に別れを告げて
俺は通い慣れた路地をいつもよりゆっくり歩いてる
すすけた畳屋の割れたガラスにうつっていた
暮らしにまみれた俺が一人うつっていた
「やるなら今しかねえ やるなら今しかねえ」
66の親父の口癖は「やるなら今しかねえ」
「やるなら今しかねえ やるなら今しかねえ」
66の親父の口癖は「やるなら今しかねえ」
やるなら今しかねえ やるなら今しかねえ
やるなら今しかねえ やるなら今しかねえ