1998年にリメイクされ、シングル「この世で君が一番好き」のカップリングとしてリリースされてはいるが、最初は1977年リリースの松山千春ファーストアルバム『君のために作った歌』の2曲目に収録されているだけだった「大空と大地の中で」

 

今や、北海道をイメージする松山千春の代名詞的な、日本のスタンダードと言ってもいい曲となった。名曲は多くの人々の心の中に入り歩き始め、時代を越えていく。

 

CHAGE and ASKA「PDIDE」もまたそうだろう。

 

シングルではない。1989年8月にリリースされたアルバム『PRIDE』(Disc1)の2曲目に収録されているだけだったが、おそらくファンの皆さんからの支持は、全楽曲の中で1、2を争うだろう。

 

私にとっても”座右の歌”。2003年3月、横浜アリーナで聴いた「PRIDE」は嬉しかった。

 

失恋による悲しみの顔をしているが、根底では、逆境に屈せず仁王立ちしている一人の人間を支える、まさに「PRIDE」を歌っていると捉えてきた。

 

傷つき、打ちのめされた時の心境と情景、再び前に進もうとする心意気を、芸術的と言っていいほど見事に綴っている。。
 

 

肩に力を入れて、200%の自分を投影して聴くことはない。


今となれば、肩の力が抜け、等身大の自分で穏やかな気持ちで聴くことができる。

かと言って、手放せないものとしての「PRIDE」はまったく変わらない。

 

恩師は教えてくださった。

 

「哲学と言っても難しいことじゃないんだ。たとえば、市井の一ご婦人が生活の中で”私にはこれだけは譲れない”というものを持っている。それが哲学だ」

 

「PRIDE」はまた「哲学」とも言える。「夢」と置き換えられる場合もあるかも知れない。

 

「こんなに苦しい思いをしても、それでもお前はそれを捨てないのか。それを掲げて、歩き続けるのか」―逆境に置かれた時、辛酸を舐めた時、もう後がないという状況に置かれた時にこそ「PRIDE」は鮮明になる。

 

思い上がりでも何でもない。口に出せず、呑み込んで自分の肚に収め続けることもある。

 

世間の足の引っ張り合いや人間の心の浅薄さなど歯牙にもかけず、もっと深いところを見つめて、黙って自分の決めた道を歩いていく。

 

 

 

思うようには いかないもんだな

呟きながら 階段を登る

夜明けのドアへ たどり着いたら
昨日のニュースと手紙があった

折れたからだを ベッドに投げ込んで
君の別れを 何度も見つめてた

伝えられない事ばかりが
悲しみの顔で 駆けぬけてく

心の鍵を壊されても
失くせないものがある プライド


光りの糸は レースの向こうに
誰かの影を 運んで来たよ

やさしい気持ちで 目を細めたとき
手を差しのべる マリアが見えた

何が真実(ほんと)か わからない時がある
夢にのり込んで 傷ついて知ること

誰も知らない 涙の跡
抱きしめそこねた 恋や夢や

思い上がりと 笑われても
譲れないものがある プライド

僕は歩く 穏やかな愛で
白い窓辺に 両手を広げた

伝えられない事ばかりが
悲しみ顔で 駆けぬけてく

心の鍵を壊されても
失くせないものがある

誰も知らない 涙の跡
抱きしめそこねた 恋や夢や

思い上がりと 笑われても
譲れないものがある プライド