鶴見祐輔氏の「ナポレオン」(潮文庫/昭和44年・1969年11月初版)はこれまで何度か読んできた。その後、潮出版社が「若き日の読書ベスト・セレクション」というシリーズを開始した。

 

文庫本よりもふた回りほど大きなサイズになって、いくつかのタイトルが再刊行された(「ナポレオン」は2000年12月刊)。私はその版で平成15年8月20日に読了していた。

 

鶴見祐輔氏は読者を引き込まずにはおかない筆致で、熱い思いを込めてナポレオンの生涯を綴る。同書の「第四部」として、著者の「ナポレオン論」を残している。

 

(ナポレオンは、思想・考えを、現実の社会の中に具現化する力に恵まれた)

「それが彼の渾身の勇気である。

 彼は頭のなかでこうと決めたら、天下になにものをも恐れずして突進する勇気を多分量に恵まれていた。

『前進!』

そう叫んで彼はその思想を実行した。(中略)

われわれはいろいろの希望と計画とをもっている。しかし危険の恐怖のために、とうとうこれを実行せずして死んでゆく。なんぴとといえども、自己心内の恐怖心を克服したら、すばらしい仕事ができるのだ」   (同書474㌻)

 

2000年4月にリリースされた小田和正のアルバム『個人主義』

それまでのアルバムに比べて、メッセージ性の強い曲が並ぶ。

 

 

3曲目「the flag」

ジャケット写真と関連があるのかどうか分からないが、伝えるメッセージを考えると、まさにこのアルバムのフラッグシップを意識しての曲なのかもしれない。

 

ベストアルバム「自己ベスト-2」「あの日あの時」にも収録されている。

 

 

「汚れなき想いと 譲れない誇りと」が今も自分の中にある。

 

長く現実社会の中で戦ってくると、時に疲れる時がある。傷つくことがある。人を傷つけることもあった。

 

止まることはしない。戦い動きながら、少し休めばいい。心と体を整える。

やがて傷が癒され、必ず力が漲ってくる。

 

その時には、あらためてそこに並ぶべきである。

勇気を出してあらためて大きく一歩踏み出す時である。

 

いろいろ経験した分、懐が深くなる。角が取れ、周囲の人を生かしながら、自分の理想と誇りに向かって挑戦していける。

 

「あの時掲げた 僕らの旗だけが 一人揺れている 時の風の中で」

 

時の風雪に耐え、今も風にたなびく自分の中にある旗を抱きしめ、それを目指して

「僕は諦めない   誰か聞いているか  僕は こゝにいる」

 

 

たゞ 若かったから それだけのことかな
あの頃 僕らは 傷つけ合っていた


汚れなき想いと 譲れない誇りと
迷いのない心は どこへ行ったんだろう


あの時掲げた 僕らの旗だけが 

今も揺れている 時の風の中で 

 

 

それからの 僕らに 何があったんだろう
変わってしまったのは 僕らの方なんだ

自由な翼を 僕らは たたんで
二度と そこから 飛び立つことはなかった


やがていつの日か この国のすべてを
僕らが この手で 変えてゆくんだったよね


僕らが この手で すべてを 

こゝから 行くべきその道は どこかと 

できるなら もう一度 捜さないか

戦える 僕らの武器は 今 何かと
それを見つけて こゝへ 並ばないか


僕は諦めない 誰か聞いているか
僕は こゝにいる


誰か そばに いるか
やがていつの日か この国のすべてを


僕らが この手で 変えてゆくんだったよね
あの時掲げた 僕らの旗だけが
一人揺れている 時の風の中で