帰宅すると玄関の飾りがシクラメンの花に換わっていた。
家内が季節や世間の行事に応じて換えてくれる。帰宅して、それを見るとほっとする。
有り難いことである。家内の顔を見たらまずその飾りのお礼を言うよう心掛けている。
シクラメンと言えば、浮かぶ歌は「シクラメンのかほり」しかない。
1975年に布施明が歌ってミリオンヒットとなった。
当時私は8歳ということか。リアルタイムではまったく知らない。
心に染みる歌はやはり時代を超え、人々の心に残るものである。
作詞・作曲は小椋佳。
松山千春は自伝「足寄より」で小椋佳に言及している。
松山が高校卒業し、北見でバーテンをしていた時代(昭和49年から約1年間)のこと。
「最初の三万円の給料は、おやじに一万円、おっかあに一万円やった。どっちにしろ、三万円だから、小遣いだけで消えちゃう。
買ったのはレコード。井上陽水に小椋佳。(中略)
小椋佳はショックだった。俺はどっちかっていうと、静かに歌いだして、途中から気分が高まっていくみたいな感性がある。小椋佳はそうじゃないんだよね。歌い方にもメリハリがないみたいで、一本調子。それでトータルとしてはキチッとメリハリがついているし、グーンと盛り上がってくる。すごいなあと思った。北見では小椋佳ばかり聴いてた」
(「足寄より」単行本126㌻)
影響を受けたかどうかは分からないが、松山が作る歌詞の世界は小椋佳に寄っていると思っている。作風としてはともに、綺麗な言葉で心のありよう、抽象の世界を歌う。
叙情派と言えばそうなのだろう。
発表されたすべての楽曲を聴いてきたわけではないが、小椋佳の曲の中では「時」がとても気に入っている。