<2023.8.23>公式音源挿入
<2018.10.31>
松山千春の歌の世界に登場する女性から、その歌が男性の立場、女性の立場、どちらから歌ったものであれ、男性に尽くし、男性の言葉に耳をすまし気持ちを慮り受け止め、男性の後ろからついていくような女性観を感じる。
「泣いてしまいたい」
1995年10月、アルバム『勇気ありがとう』(同年11月)の先行シングルとしてリリース。
「俺は多くの素晴らしい女性とめぐり合ってきた」(要旨)と松山千春はよくライブで語る。多くの女性と別れても来たのだろう。
同アルバムに収録されている「ひとり」とこの「泣いてしまいたい」は、同じひとりの女性のことを歌っているように思う。リリース直後、初めて聴いてそう感じた。
それも、つい最近経験したそれなりに大きく悲しい別れだったのではないか…。
この2曲、続けて歌ってワンセット、好きな2曲。
冒頭の女性観からすると、この曲はそれとは反対の松山千春の歌に共通していると感じる男性観そのもの。
個人的には、現実として、本当はそういう女性はいないのかもしれないけれど「黙ってあなたの後ろからついていくわ」という女性よりも、自分をシバキながら「あなたなんか、まだまだよ」と気合いを入れてくれる女性の方が、自分自身には合うと思っている(ただし”恐妻”ではない)。
現に妻はそういうタイプだし、最近では二十歳間近の長女が妻とタッグを組み、よりパワーアップして私に押し寄せて来る。その破壊力は数値では表せない。
自分の力が 足りないばかりに
お前を守ってやれなかったね
昔付き合ってくれた女性に何もしてやれなかった、大切にしてやれなかったことを今でも悔やむ。
自分に向けてくれた彼女の気持ちを、なぜもっと全身で受けとめてあげられなかったか。いつも明るく話しかけてくれた彼女の笑顔が浮かび、声が聞こえてくる。
バカだな バカだな
どうせなら泣いてしまいたい
思いきり泣いてしまいたい
広く男性全般のこととして一般化し切れないけれど、とかく男性の方が女性と比べると子どもで、ある意味純粋で、情けないぐらい過去の傷を引きずるものかもしれない。
どうせなら泣いてしまいたい
苦労ばかりかけたから
思いきり泣いてしまいたい
旅立つお前のために
自分の力が 足りないばかりに
お前を守ってやれなかったね
忘れはしないと言われたところで
引き止めることも 出来ない俺だよ
バカだな バカだな
バカだな バカだな
どうせなら泣いてしまいたい
そんな夜もあるんです
思いきり泣いてしまいたい
格好なんて気にせずに
うぬぼればかりが からから空回り
お前の幸せ 祈ってあげない
どんなに愛して 愛されたのか
今は冷静に なれない気分
ダメだな ダメだな
ダメだな ダメだな
どうせなら泣いてしまいたい
そんな夜もあるんです
思いきり泣いてしまいたい
格好なんて気にせずに
どうせなら泣いてしまいたい
苦労ばかりかけたから
思いきり泣いてしまいたい
旅立つお前のために