"思うようにはいかないもんだな"― 呟きながら車を降りる。
"玄関のドアに辿り着いたら、手を差し伸べる雛人形が見えた"― 

三連休最終日、今日も出勤。

帰宅すると玄関飾りが雛人形に変わっていた。
自分の家内のことではあるけれど、有り難いし、ホッとする。

部屋に入ると、家内と長女で飾った雛人形があった。
私の2本のギターとアンプは部屋の隅で窮屈に肩を寄せ合っていた。



この雛壇の前に無理やり座らされ、皆に写真を撮られていた初節句、0才の長女も今春大学入学。早いね〜。

私が大学入学の時、送り出してくれた父と母の姿を今でも鮮明に覚えている。自分の子どもがもうそんな歳、不思議な心境だ。

父や母は、家計的にも大変な状況の中、我が子を外に出す複雑な思いで送り出してくれたんだなと同じ立場になって感謝とともにしみじみと思う。

CHAGE&飛鳥「PRIDE」。作詞は飛鳥涼。
一度だけ横浜アリーナのライブに行ったことがある。生で聴いた「ひとり咲き」にはシビレた。
 

飛鳥涼のアルバム「SCENEⅡ」は名盤だと思うし、今でも感情移入できる曲が多い。
「けれど空は青 〜close friend〜」「都会の空」「君が愛を語れ」などは名曲だと思う。

同じ頃に出たCHAGE&飛鳥「TREE」。二人の絶頂期に発売され、発売直後の初動売上が約100万枚を記録したモンスターアルバム。最終的にダブルミリオンを超えた。
「明け方の君」「BIG TREE」も名曲だ。

この頃(1990年初頭)までの飛鳥涼の歌詞は見事だった。
別世界のような抽象的で大きな言葉を使いながらも、聴く人に具体的な自分のシーンを思い起こさせる。一方で、誰にでもありがちな現実を歌うこともある。

その歌詞を紡ぎ出し、メロディを生み出すことに全存在をかけているような感じさえする。
 

そして「PRIDE」。私自身の”座右の曲”のひとつだ。

「思うようには いかないもんだな 呟きながら 階段を登る
夜明けのドアへ たどり着いたら 昨日のニュースと手紙があった
折れたからだを ベッドに投げ込んで 君の別れを 何度も見つめてた

伝えられない事ばかりが  悲しみの顔で 駆けぬけてく
心の鍵を壊されても 失くせないものがある プライド

光りの糸は レースの向こうに 誰かの影を 運んで来たよ
やさしい気持ちで 目を細めたとき 手を差しのべる マリアが見えた
何が真実か わからない時がある 夢にのり込んで 傷ついて知ること

誰も知らない 涙の跡  抱きしめそこねた 恋や夢や
思い上がりと 笑われても 譲れないものがある プライド」


決して安っぽい失恋の歌ではないだろう。
傷つき、打ちのめされ、力尽きても、まだ前に進もうとする心意気が伝わる。

その打ちのめされた時の心境と情景を、これほど見事に綴った歌詞はないのではないかと思う。

打ちのめされどうしようもなくなった時、人間の真価が問われ、そこから自分を大きく開いていく。

― さて、嬉しそうに家内と一緒に入学準備をする長女を見ながら、まずはこのワインワイン赤ワインを開けて、明日からまた頑張ることにする。