アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディが生まれたのは1917年。今年はちょうど生誕100年だ。写真はテキサス州ダラスで凶弾に倒れる3年前、1960年の近影だ。「ケネディ-英知と勇気の大統領-」(中屋健一著/旺文社文庫)の最初のページに掲載されている。
お恥ずかしながら、私がケネディに関して学んだのはこれが最初である。もっと多くのケネディに関する書物を読まないと、この一冊だけで私がネディの全体像を論じるには無理があるが、この本は、ケネディが生まれる前のケネディ家の歴史から入り、大統領在任期間2年10ヶ月、わずか46歳で散ったケネディの生涯を綴った伝記であり、佳作だ。
東側諸国との冷戦、軍拡競争の真っ只中での安定、共存への模索。東西ドイツ対立とベルリンの壁建設。国内のプロテスタントとカトリックとの融和。マーチン・ルーサー・キングと同時代に人種差別撤廃を掲げる。ニューフロンティア政策の推進。キューバ危機の回避とベトナム戦争への突入―これら多くの世界的な歴史エポックはすべてケネディが成した偉業であり、在任中に起こった出来事である。
率直で、誠実あふれる人柄。一度結んだ親交はいつまでも大切にする。第三次世界大戦勃発かと言われたキューバ危機を武力衝突なく回避したその裏には、ソ連・フルシチョフとの長年の文通、親交があった。
「世界の平和的共存と永続的平和」という自身が掲げた理想を生涯手放さなかった。すべての出来事への対応はその理想に照らして判断していった。
「未知の道を行くには多くの性格的特質が必要である。それは勇気を必要とする。
それは逆境と危険にのぞんで冷静さを必要とする。それは新しい可能性を思いつく
想像力を必要とする。それは失望に堪える剛毅を必要とする。それはくわしい専門
的知識を必要とする」(1961年 議会での演説)
ケネディが生まれて100年。遅まきながら、この本を読んでケネディの人物像にもっと迫りたくなった。ケネディに関してもう少し勉強してみることにする。