ここでは海事代理士の筆記試験について説明します。


筆記試験は各地方運輸局で9月下旬の平日に実施されます。近くにお住まいでない方は泊りがけなうえ、平日ですのでなかなかハードルが高いですね。試験会場は海技試験経験者ならお馴染みの海技試験室(会議室みたいな部屋)で行われます。


試験時間は長丁場で朝から夕方まで休憩時間を挟みながら行なわれます。資格試験としては珍しく、最後の試験が終了したら模範解答をくれます。問題用紙も持ち帰りできるのですぐに自己採点できます。


《注意! 問題数は変わらないのに令和5年から試験時間が短くなりました!》


問題は憲法、民法、商法(海商法のみ)の一般法律関係と船舶法等の海事法律関係から計20科目、それぞれ科目によって10問若しくは20問出題されます。各試験時間ごとに数科目づつまとめて受験します。全科目紹介すると長くなるので詳しくは国土交通省のホームページをご覧ください。


配点は基本的に1問1点で、240点満点。科目毎の足切りは無く、トータル60%以上(144点以上)の得点で合格です。ただし、平均点が60%を超えると平均点以上が合格点になります。


試験内容は条文の虫食い(記入、語群選択)、正誤選択が主として出題され、箇条書き回答の問題も1、2問あります。乗船履歴(実務経験)の合算といった簡単な計算を必要とする問題も1問だけ出ます。


出題の傾向としては過去問の使い回しがほとんどで、法改正部分以外の新問はあまり出ません。条文そのままが虫食いとしてかなりの範囲出ます。単純に語句を覚えていれば答えられる、覚えていなければ答えられない、といった問題ですので、海や船に全く馴染みのない方でも暗記が得意であれば、頻出条文丸暗記という力技で乗り切ることもできます。


勉強資料としては、国交省のホームページで公開されている『過去問とその模範解答』、法令検索サービス『eGov』、後は成山堂書店の『海事代理士合格マニュアル』あたりになると思います。


なにせマニアックな資格ですから参考書といえば『海事代理士合格マニュアル』ぐらいしかありません。中身は数年分の過去問の羅列と解答のみ。解説もなく、対応する条文の項しか載ってない。しかも数年おきにしか改編されないので法改正や試験科目の追加に対応できない、誤記もちょこちょこ散見されるという人気資格参考書から比べると超絶不親切仕様です。


今までの受験者はこれで乗り切ってきたのですが、最近は大手資格予備校でもオンライン講座を始めています。合格マニュアルや過去問を片手に1つづつ条文を検索するのも時間がかかるので、効率良く勉強したいのであれば講座を利用するのもありです。


次の記事では筆記試験について私なりの対策を紹介します。