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東京芸術劇場で『La Mère 母』を観てきました。

 

ポータブル字幕・ヒアリングループ付き。

 

 

息子が家庭から巣立っていく時期の母親を描いた作品で、同じシーンが何度か繰り返されるのが大きな特徴です。


鑑賞前は「母というタイトルだから、ラストは泣いちゃうかもね~」なんて友人と二人で笑ってましたが、甘かった…!!!

 

ある時は、良き母だが夫の無関心に苦しめられる女。

 

ある時は、嫉妬心や猜疑心をむき出しにして、夫を苦しめる女。

 

ある時は、息子を束縛し、息子の彼女に悪態をつく女。

 

ある時は、息子の彼女から虐められる女。

 

 

女の業や狂気を深く、濃く、そして切なく表現する展開に圧倒されました。

もし私に息子がいて溺愛していたら、こんな母親になってしまうのだろうか、と恐ろしく感じる所もありました。

 

若村麻由美さんの母は本当に素晴らしかったし、

岡本健一さんのイケオジっぷりには惚れ惚れ!

我がままな妻をいたわる夫なんてもう惚れてまうやろ~!って感じでした(笑) 

岡本圭人さんもカッコ良かったです。

 

しかし、凄まじい台詞が続き、女の醜い部分をこれ以上観客に突き付けるのはやめてくれぇ、、、(涙)と思っていたら、

ラストは自分の背負う罪から解放されたかのような不思議な感覚に包まれて終演。これはとても不思議で神秘的な体験でした。

 

少し前に、芸劇で「わが町」を観た時、何百年もの時の流れが音を立てて自分の頭の上を通過していくような不思議な感覚に襲われたのですが、舞台作品に深く没入することで時空を超越するような、神秘的な感覚を味わうことがあります。

 

舞台作品を観て、そんな体験ができるのは、字幕があるからこそ。

本当に素晴らしい作品でした…!

 

 

『La Mère 母』   東京芸術劇場 (geigeki.jp)

 

 

 

観賞サポートについて 

 

東京芸術劇場では、劇作家フロリアン・ゼレールによる家族の物語として『La Mère 母』と『Le Fils 息子』の2舞台を上演しており、どちらにも字幕が付いていました。

 

字幕対応日は2日連続で、1日目は「息子」2日目は「母」でした。

私は「母」のみ観ましたが、予定が合えば「息子」も観たかったです。

どちらの作品にも字幕をつけたのは素晴らしいですね。

 

この日の字幕利用者は9名~10名ほど。

 

字幕機はアームで支えられるようになっており、とても楽に鑑賞できました。これは字幕対応を実施する全ての劇場・劇団に真似して欲しい。

 

こちらの報告書のP9に字幕機アームの写真が載っています。

鑑賞サポートがひらく より豊かな劇場の可能性 報告書

 

 

ヒアリングループを利用することで、普段よりもクッキリと台詞や音が聞こえてきて、とても良かったです。ただ、私の場合は台詞が全部聞き取れるわけではなく、字幕は必須です。

 

東京芸術劇場の字幕サポート演目はいつも観に行っていますが、どの作品もハズレなしだと思います。

他のミュージカル作品の場合は、好きな役者が出ているから観に行くのですが、東京芸術劇場の場合は、この劇場が主催しているから観に行くという感じです。

 

これからの作品、野田地図や、木ノ下歌舞伎も楽しみです!