これはある有名劇団の舞台を、聞こえない友人と二人で観に行った時のお話です。

※特定の劇団だけの話ではなく、どこででも起こりうることでもあります。

 

 

 

舞台にはアフタートークがあり、

情報保障が付くことが書かれていました。

さらに素晴らしいことに、情報保障として手話、文字通訳を選ぶことができるとのこと。

 

そこで、友達は手話、

私は文字通訳を選択しました。

 

 

 

当日劇場に行くと、ハプニング発生。

 

情報保障として用意されていたのは

手話通訳のみでした。

 

スタッフさんに理由を聞くと、

手話と文字通訳の両方を選択された場合は

手話通訳を用意している、とのこと。

 

 

いやいやいやいや!!!

 

今手話ができない人が、明日聞こえなくなったらすぐ手話ができるのかというと、できません。手話は言語なので、習得するには長い年月が必要です。

 

また、手話を勉強中であっても、手話でしっかりと内容が把握できるとは限りません。例えば学校で英語を勉強している中学生が、英語のトークショーをネイティブと同じように楽しんで見られるか?無理でしょ!

 

手話と文字の両方が必要なら、両方用意する必要があり、代替がきくものではないのです。

 

 

とはいえ用意していないものは仕方がない。

色々言いたいことはあるが、責めてもしょうがない。

手話通訳だけで頑張る覚悟を決めました。

 

 

舞台は字幕付き。

とても面白かったです。キャストの掛け合いが本当に楽しくて、鑑賞後は多幸感に包まれ、観に行って良かったと思いました。

 

 

 

そしてトークが始まりました。

 

始まる前に、観客に対してトークに手話通訳がつくことについて説明がありました。

また、劇団の方は、通訳が見やすいと思われる席を用意してくださったり、色々と考えて下さっていました。更に通訳の方は本当に本当に頑張っていました。しかし…

 

 

 

 

トークの登壇者は5人。

手話通訳は1人

 

そして全員がマシンガントーク。

 

 

 

話すテンポが異常に早い。

関西人だから?

話が早すぎるため、手話の動きも早すぎて

話の中身をつかむことができない滝汗滝汗滝汗

 

もっとゆっくりはんなり喋ってえええ!

 

さらに、一人が話している時に、別の人が言葉をかぶせて話し始める。

笑いもドッカンドッカンと起きるため、手話通訳も話が聞き取れない状況で困惑している。

 

 

ゲローゲローゲローゲローゲロー

 

 

伝わってこないトークの間、

こういう時は何ができるか、考えていました。

 

よくある対応方法としては、

 

出演者に事前に情報保障について説明。

できる限り一人がしゃべり終わってから次の人が話すようにする

 

先日観たこの舞台↓でのトークは、一人がしゃべり終わってから次の人が話すようにしていたので、UDトークの認識が良かったです。

【観劇記録】劇団じおらま『たいない』 |

 

後からフォローする

例えば、トーク中に文字起こしアプリを起動しておいて、文字起こしログを修正して渡す、トークを録画しておいて動画に字幕を入れ公開する 等。

 

どちらも、過去に対応いただいたことがあります。

 

 

精度の高い音声認識アプリも試してみる

 あのトーク内容を文字にするなら、YYProbe一択かもしれない。色々と試してみたいところ。ただ、会場では携帯電波はつながらなかった。

 

後からここで文字通訳をするときに通信はどうするのか聞いたら、スタッフ用のWi-Fiは繋がるので問題ないとのことだった。

 

 

 

情報保障があっても歯が立たないトークが終了しました。

 

起きたことを正確に伝えるなら、言葉を選ばなければ、劇団の方がせっかく対応したのに…と嫌な思いをすることになる。

 

いや、正規のチケット代を払って、トークが楽しめなかった私も嫌な思いをしてるけど??

 

正直面倒くさい。

めちゃくちゃ疲れる。

楽しかった舞台の記憶も全て台無しだ。

 

でも今後のことを思うと、伝えるしかない。

 

劇場のロビーで、手話通訳と劇団スタッフさんを交えて、

字幕への感謝の声を伝える会から情報保障反省会に雪崩れ込み 笑  トークは通訳ができない状況であったことを伝えました。

 

 

すると、スタッフさんから

文字通訳を用意しなかった理由について

衝撃の事実が明らかに!!!

 

 

なんと去年の公演では、アフタートークに文字通訳と修正者を用意していた。しかし、音声認識の結果が無茶苦茶な内容だったそうな。

 

あの話し方なら、そうなるでしょうねー汗

悪いのは文字通訳じゃないよ、話し方だよ。

 

だから、文字と手話の両方をリクエストされたら、手話だけ用意している、と。

 

おいおいおい、、、!

文字通訳が無茶苦茶だったら、手話だって同じだよ!!!機械が言葉として認識しないものは、手話通訳だって通訳しようがないもの。

 

というか、今回も文字通訳だけを要望されたら、どうするつもりだったの、、、?

 

 

劇団スタッフも出演者も、自分たちの話し方で通訳できているのだろうか?と疑問に思うことは無かったのでしょう。

そして、観客全員がトークを楽しんでくれている、と思っていたのでしょう。

 

出演者が、今日は通訳が入っているから少しゆっくり話そう、と意識するだけでも大きく変わるのに。

 

ああ、せっかく通訳を用意してくれたのにもったいない。。。orz

 

 

後日、劇団から委託を受けて手話や文字通訳の手配などを行っている鑑賞サポートの会社にも当日の模様を伝えました。

 

 

ああ、疲れた。

 

繰り返しますが、これは劇団だけの問題ではありません。

また、劇団として情報保障にしっかり対応しようという姿勢は本当に素晴らしいです。

 

ただ、情報保障は、つければそれで解決というものではない。何より重要なのは主催者側や話し手が情報保障について、きちんと理解すること、それがなければ上辺だけの情報保障になってしまいます。

 

1度目は文字で失敗、

2度目(今回)は手話で失敗。

次回公演は、3度目の正直となることを願って、この記事を締めたいと思います。

 

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