劇団じおらま の旗揚げ公演

『たいない』を観てきました。

 

 こまばアゴラ劇場。

こぢんまりとしていて、観やすく、

(椅子にクッションがあって嬉しい)

ロビーも綺麗で素敵な劇場でした。

じおらま のロゴが手書きみたいで可愛い。

 

渋谷から歩いて、途中で松濤美術館の

ゴーリー展を見てから行きました。



舞台は

精神的な辛さから仕事を休む

女性社員のシーンから始まり、

SNSでのディスりあいなど、

何もかもが身近にあるものばかり。


暗闇の中で、もがく女性社員をみると

まったく人ごとではいられず、

ただドアを開け続ける姿に、

わたしも、ドアを開け続けよう、と

思わぬ決意が湧き上がってくる、

そんな力強さも感じたお芝居でした。


上から吊るされた照明が効果的に使われ、

劇場にある避難誘導灯は、

今ここにいる自分と彼方にある舞台の世界を結ぶ魔法のランプのよう。


光は闇を作る為にあるのであれば、

闇もまた、光を際立たせるためにあるような気がした。


床にパイプが張り巡らされ、役者がその上をぐるぐる走るものだから、

転けないで!と手に汗握ってしまう。


後ろには布の幕が張り巡らされ、

一つの切れ目がテントのようになっている。

そこでチャカポコと音を鳴らしていた人が、劇団の主宰者だった。

 (一部写真撮影OKでした)


ちらっとしか映ってないけど、

客席の前にはプラレールのようなものが置かれ

その上を列車が走り、

側に置かれていた本は

おしいれのぼうけん(トラウマ本)


このあたりのこだわりも

すごく面白かった。


舞台が終わってすぐ、うまく咀嚼できないまま、

そのままアフタートークへ。

舞台にトークもつくのは、

お得感があって嬉しい笑

 

  鑑賞サポートについて

 

鑑賞サポートが旗揚げ公演にしては(と言っていいのか分からないけど)手厚かった。

 

障害ある観客とU18、介助者はチケット無料。


台本貸し出しあり、

当日は自分の端末で台本閲覧可。


アフタートークはUDトーク修正あり。

制作さんが修正してくれました。

修正がかなりスムースで、素晴らしかったです。

これが無かったら観てなかった。


台本サポートということで、

UDCast鑑賞サポート相談窓口から、

台本用に光漏れを抑えた

タブレットを借りて持っていきました。

これは大正解。

結構暗くて小さい舞台なので、

いくら許可をいただいていても、

端末の光漏れがあると、凄く気を遣うと思う。


物凄く頑張られているのを感じつつ

一つだけ言うならば、

今後は、やはりチケット無料よりも

字幕をつけて欲しいところ。


助成金を得て鑑賞サポートを実施されるところは、鑑賞サポートのアドバイザーを付けられるといいのではないだろうか。



劇団として、ハラスメントのない環境作りに取り組まれていて、

アンケートに、「ハラスメントはどうしたらなくなると思うか?」という設問があった。


演劇界のハラスメントと、まだまだ鑑賞サポートが少ない問題は地続きだと常々感じている。

集団の中で優位性をもつ強い立場の者が、その権力を武器に、目下のものへ精神的、肉体的に害を与える環境にいると、

自ずからマイノリティ=弱い立場の者のことをなかなか考えられなくなるのではないか、と。



この前、NHKで40年前の早稲田の学生演劇が放送されていた。

結構なパワハラがあったので、

友人にパワハラが怖かったと言ったら「人によるけど、今もそういう所はあるよ」と言われた。


せめて灰皿が飛ばない世界であってほしい。