車椅子ユーザーの方が、

 

とある劇場のことを、

 

意地の悪い劇場

 

と書かれていた。

 

 

 

 

何が起きたのかというと…

その車椅子ユーザーの方が、

舞台を観たいと思って、その劇場に問い合わせたところ、

介助者もチケットを買うようにと言われたのだそうだ。

 

介助ヘルパーさんは別に舞台に興味があるわけではなく、

舞台が始まる前に外に出ることができる。

(追記:実際に舞台を観ることはなく、ヘルパーさんの席は必要ない)

 

それにもかかわらず、チケットが必要だという。

 

 

その劇場の車椅子エリアはS席。非常に大きな劇場で、有名人がこぞって出演する舞台ばかりなので、1席あたり1万3千円~ というところか。

 

大手主催者の劇場に、

学生割や、シニア割はあっても、

障害者割引は存在しない。

 

車椅子ユーザーだろうが、

セリフが聞こえなかろうが、

役者が見えなかろうが、

皆、同じ料金を払って観ている。

(東京芸術劇場のような公立の劇場は、時々障害者割引がある場合もある。ただ数は少ない。)

 

 

介助者の人数は障害の程度によって変わるが、

1名の介助者が必要だとすると、

S席のチケット(1万3千円前後)が2枚必要になる。

 

介助者は上演中は劇場の外に出られるため、席は必要なくても、

1回の観劇あたり2万6千円前後の費用がかかるという計算になる。

 

「意地の悪い劇場」という発言をされた方は

若い感じの方だったので、

1回でこの金額は、かなりの痛手だろう。

 

本来ならば、好きな舞台が観られる劇場、愛すべき場所に対して、

意地の悪いという思いを持つに至った経緯を想像すると悲しくなった。

 

 

 

別の車椅子ユーザーが、

舞台を観ない介助者にもチケットが必要だと言われるのはおかしい

主張したところ、そのことがTwitterで拡散された。

 

その方は2名の介助者が必要な方だったので

舞台を1回観るのに、チケットが3枚必要だと言われていたのだ。。

 

 

拡散されたことで、劇場は対応を改めたため、

その方は1枚のチケットで、舞台を観ることが出来るようになった。

 

 

めでたしめでたし・・・(声をあげてから改善するのではなく、最初からきちんと対応して欲しいところですが)

 

 

しかし、その次に上演された舞台では、

またもや介助者にはチケットが必要だと言われ、

前回解決したことは根本的解決になっていなかったことが分かった。。

 

Twitterで広まりでもしないと改善されず、

一度改善しても、次の舞台では元通り。

観劇のハードルは本当に高い。

 

 

 

 

昔ならば、車椅子だから仕方がないよね、と思われていただろう。

当事者もやはり仕方がないと諦めていたかもしれない。

 

聞こえない人も同じだ。

聞こえないのに舞台を観るなんて、と思われていた。

 

今は多様性が尊重され、インクルーシブシアターを目指そう、などと叫ばれる時代である。

 

舞台に字幕が付いたりして、聞こえなくても楽しめる舞台が徐々に増えてきている。

 

※インクルーシブ=障害は人にあるのではなく、環境にあるととらえ、あらゆる人が孤立したり、排除されたりすることのない考え方

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、舞台作品や出演者には罪はない。

 

困っている人に対して、バリアを除こうと、

誠実に対応している劇場も多く存在する。

 

 

ただ、色んな人が劇場に来るこの時代に、

車椅子ユーザーであるというだけで、

観劇のハードルを上げるような対応を

堂々としている劇場(主催者)は、

当事者にとって、

やっぱり意地の悪い劇場なのである。。😓

 

 

多くの人にとっては、その意地の悪い劇場は

魅力にあふれ、何の問題もない劇場だろう。

 

しかし交通事故に遭った、

転んで骨を折った、

手術を受けて車椅子生活を送ることになった等

 

一人で外出が出来なくなれば、とある劇場は

意地の悪い劇場に変わる可能性があることを

忘れてはいけない。

この問題は、決して対岸の火事ではないのだ。

 

 

 

流れ星ブログを書いている人:yuki(ゆき)
  1998年の初代宙組エリザベートをみて宝塚にハマりました。 
  いまは全組観劇派、台本タブレットをお借りして観ています。
  
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