ビザなし交流での、丸山穂高衆議院議員の不適切発言をめぐる様々な報道が出ております。

隣接地域を抱える北海道の地元新聞・北海道新聞の見出しは

「ビザなしの歴史 台無し」

と、いうものでした。

 

丸山議員と大塚団長の主なやりとりが掲載され、元島民をはじめ団員の皆さん、そして領土問題解決を願い日頃より尽力されてこられている関係各位の声が載せてありました。

 

丸山議員の「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか?」、「戦争しないとどうしようもなくないですか」等という一連の発言には、憤りというか無念さを通り超えたものを感じます。

 

ビザなし交流とは、

『日本とロシアの間で未だ解決されていない北方領土問題が解決するまでの間、日本国民が北方四島を訪れ(訪問事業)、北方四島のロシア人住民が日本を訪問する(受入事業)ことにより、相互理解と友好を深めることを目的としています。』

 

それぞれの考えや意見がある中で、交流を通じて相互に理解し合う、歩み寄るための一助です。

 

だからこそ、日本側の参加者は領土問題やこれまでの政府間交渉の経緯などを事実として知ることが重要です。その上で、個人としての意見があることは否定はしません。

しかしながら、政府の専権事項たる交渉をあくまでも、後押しすることが需要かつ果たすべき目的ではないでしょうか。

 

この丸山議員発言による今後への影響が注目されていますが、この問題が明るみになって速やかに、ロシアの政府筋のメディアも丸山発言とあわせて菅長官が「政府の見解とは異なる」「誠に遺憾だ」と公式会見で述べていることも伝えられるなど冷静な扱いがされているように感じました。

 

一部保守系メディアなども、日本の専門家による批判的な意見も報じておりました。

 

領土、主権の問題は、政府そして何よりも時のリーダーの采配が大きい事実を、冷静に受け止め、課題解決に向け後押ししていくことが重要です。

 

また、丸山議員個人の問題として、扱うだけでなく

ビザなし交流の目的や、在り方について、しっかりと見直すべきは見直すことも含めて課題としてとらえる視点も必要です。

 

最近のビザなし交流をみていると、どうしても

友好に重きがおかれ、“事なかれ主義”的な事業におわっている感もあります。

本来の目的は、1991年の日ソ外相往復書簡にある通り「領土問題の解決を含む日ソ(日露)間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってこのような問題の解決に寄与すること」です。問題の解決に寄与、平和条約締結に繋げていくことを忘れてはいけません。

 

去年、私がビザなし交流に参加した際に、正にこの点を指摘させていただきました。

 

ぜひ、

『記者が見た北方領土ビザなし交流 船上の激論で問われた“意義”』

をクリックしていただければ幸いです。

 

外務省や内閣府も、「前例踏襲」「事なかれ主義」ではなく、事業の目的、国益のために、弛まぬ努力、反省、改善を加えていただきたいと思います。