これまでに私が災害対策本部や省庁に申し入れた件を簡単にリスト化しました。
おかげさまで、結果として対応していただき解決した件、そして今後の中長期的な課題として今後見直しをしてもらう部分もあります。
地元を回っていて教えていただいたこと、承ったこと、気になったこと、などなどです。
皆さんからの声に、心から感謝申し上げます。
これから見えてくる課題もあるかと思いますが、引き続き地元に根差した行動力で今回の痛ましい経験を糧に、災害に強い北海道そして国づくりに繋げていきたいと思います
■情報収集および伝達手段の確保
・北海道の住宅は気密性が高いため広報車などでは声が届かない
・防災無線が役に立った
・個人の携帯電話が命綱となったことを鑑みて、基地局・中継局がダウンしないような体制の強化(自家発電、燃料の優先供給等)
・各自治体も非常時の伝達方法、連絡先の確認の徹底
■情報提供方法の見直し
・避難所情報、節電呼びかけ、あらゆる情報発信は多言語対応すべき
⇒インバウンド(海外からの旅行客)が増えている北海道において、外国人観光客に情報を提供することはホスト先の責務
⇒停電により充電がままならない、もしくはデータ使用料が制限されるなか、全ての情報がPDFファイルで掲載されていた。利用者目線に立っていない!!!
⇒必要な情報はPDFなどではなく、簡単に目につきやすいよう工夫をすべき
・情報弱者への対策の徹底
⇒インターネットなどに親しみがない、いわゆる高齢世帯への情報提供という課題
⇒視覚障害、聴覚障害などがある方への情報提供の抜本的な見直し、検討、体制づくり
⇒手話通訳の派遣など、行政と諸団体の連携強化
⇒緊急地震速報、避難所情報などのユニバーサルデザイン化
■自主防災・減災対策の一層の推進
・優先供給先の抜本的見直し
⇒通電されても「産業」への電力供給の優先順位が低く地域経済への影響が大きい
⇒大規模産業や企業に対して自主防災・減災・危機管理対策を推進
⇒釧路コールマインが水没の危険があったなか「使用電力が大きい」との理由で門前払いだったとのこと。官邸、経産省、資源エネルギー庁に直接働きかけ政治的判断で水没を危機一髪回避できたが、判断が遅れていたら炭鉱が閉山になっていた
・自家発電機と配電盤セットでの導入の推進
⇒苦い経験から発電機導入の動きがあるが、配電盤とのセットによる導入を進めること
⇒商用電源から自家発電に切り替える「切り替え配電盤」が必要。これが無いと倍の手間がかかる
⇒産業を担う大規模工場、酪農家などへの積極的な推進
・危機管理対応をすすめるための有資格者の充実
⇒電気事業法では電気主任技術者(電気保安協会等)資格者を選任することが義務づけられている。停電発生時に非常用発電機運転による対策として、農業経営者本人が電気主任技術者の免許を取得するか、免許取得者に発電設備の保安監督を依頼しておくことも検討すべき
・家具転倒防止対策の徹底
⇒地震による負傷者の多くが屋内での家具転倒などに起因する
⇒地震による死亡事故は多くが家具や本などの圧死によるもの
⇒死傷事故を防ぐため、もしくは救急医療が必要な人に迅速に届くよう自主防災や減災対策に徹底的に注力すべき
■基幹産業:酪農
・廃棄乳の補填等の支援策を早急に取りまとめる必要がある
⇒熊本地震の際にも廃棄乳の問題もあったが、北海道はけた違いの被害が出ている
・牛への給水体制整備
⇒自衛隊は出動要請できないので、国交省所有の散水車など知恵を出して迅速な給水を
⇒牛が100Lほど飲むことを知らない
⇒自家発電等で搾乳をしたにも関わらず乳業メーカーが受け入れを拒否したため廃棄量が増えた事実に応えるべき
⇒通電後も乳業メーカーの工場立ち上げに時間がかかり廃棄がすすんだ
・個人、農協などが今後発電機導入をする上での後押しとなる支援策の拡充
■観光業
・300億ともいわれる被害対策
⇒熊本地震での“ふっこう割”など観光客を呼びこむ支援策
⇒風評被害を一蹴すべく海外メディアやネットを通じた戦略的なPR
(例として:平成30年七月豪雨での支援策)
■雇用
・雇用調整助成金の特例
⇒災害により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成される制度の特例打ち出し
⇒生産量、販売量、売上高などの事業活動を示す指標の確認期間を3か月から1か月へ短縮すべき
■物流
・苫小牧港が液状化などの影響でヤードが一部使えない状況。そのためコンテナの置き場所(中身を下ろした後の空コンテナ)がない。運輸・船舶代理店から酪農家に空コンテナの置き場所代、余計にかかるコンテナ移送代の請求が発生している。
⇒苫小牧国際ターミナルの早期復旧、仮復旧でも稼働させるべき
⇒地震被害により生じた追加経費を発注者負担になるのを回避するべき
■自衛隊の留守家庭支援の充実
・留守家庭視点の充実
⇒災害が発生したら家族を置いて現場に出ることもある自衛隊。家族の安心安全は社会全体で保障すべき。
⇒官舎への自家発電機設置も検討すべき。自衛隊所有の発電機や車はあくまでも災害派遣先や要請を受けての任務に使われます。そのため、官舎の水をくみ上げるポンプが止まっていても使うことができません。任務に集中してもらうため、完遂するためにも「家族は大丈夫だ」という安心感を最低限担保すべき。
■デマ情報対策
・SNSなどで拡散されているデマ情報に対してもいち早く対策を講じるべき
⇒「厚真町で地鳴りが・・・」などの誤情報が公的な発表でないことをSNSで明確に発信すべき
・地方自治体でSNS対応の差に遅れがある、災害時にはSNS担当を設けるべき
⇒HPなどはアクセスが集中しダウンしやすいために複数の公式情報発信ツールを設けること(ツイッター、FBなど)
⇒停電後ほくでんのHPが一時的にダウン、あらゆるツール(ツイッター等)で情報発信を求めた
■節電
・節電呼びかけの在り方
⇒経産省HP,ほくでんHP,大臣会見では周知徹底にはならない
⇒一番身近な各自治体が気になったケースは直接指導を行えるようにすべき
⇒学校によっては夕方以降も部活動を継続しているなど、対応に差がある
■被災自治体への支援
・首長はじめ役場職員が疲労困憊、職員へのケアを早い段階からすすめること
■コンビニ
・災害時の優先店舗を決めておくべきではないか。地域にそれぞれ核となる店舗(災害時拠点店舗)を決め、制限がある中でも最低限の流通を確保すべき
■その他
・優良事例を手本に
⇒宗谷総合振興局産業振興部農務課 宗谷農業改良普及センターは平成 16 年9月8日の
台風18号による送電線施設の敀障から、16 時間に及ぶ停電を経験。旧宗谷南部農業改良普及センターでは、平成 17 年8月に「酪農経営の停電を中心とした台風対策」を作成
■国土強靭化
・速やかな実施
⇒かつて先進国の中で公共事業への“依存”が高いと批判をされました。結果として、公共事業の縮小となりました。地域経済の縮小だけでなく、安心安全にもヒビが入ったのではないでしょうか。世界で発生するマグニチュード6以上の地震の5つに1つ、20%は私たちがすむ日本です。災害多発国として、国土強靭化に重きを置いて何がいけないのか。
世界から多くのお客さんを迎えるなか、災害に強い国づくりこそ日本の使命です。
公共事業は目先の予算でも、仕事でもありません。
安心安全、命と財産、そして将来を守るための投資です。
千島海溝沖の超巨大地震の発生確率が切迫性を増している、と言われています。
釧路沖、十勝沖でも8.5以上の地震が起こる確率は70,80%と言われています。
このままでは不安をあおるために公表しただけになってしまいます。
こうした数字があるからこそ、然るべき対策をいち早く講じる必要があるのだ!と強く財務省にも訴えることが予算獲得にも繋がり、正しい税の使い方ではないでしょうか。
国交部会、災害特委、国土強靭化部会、あらゆる場面において、引き続き、“公共投資”の意義を訴えてまいります!