■送り出し国との二国間協定
技能移転を着実なものとする目的、そして
送り出し機関による不当な金銭の徴収などを無くすためには、
送り出し国との協力のもと、水際対策も必要です。
★9)しかし、今回の法案では二国間協定に関する規定すら
触れられていません。
二国間協定の締結を明確に打ち出すべきではないでしょうか?
法務大臣とともに、対外交渉を担う外務大臣の見解を伺います。
■外国人技能実習機構の創設
次に、新たに設立を目指すとする外国人技能実習機構について
お尋ねします。
★10)年間5万人程度の実習生がおり、人数分の実習計画の
認定、全国に3万2000ある管理団体と実習事業所の検査、
個別の相談や援助。
また、言葉の壁もあるでしょう。
業務は複雑かつ膨大です。
今では世界から人身取引とまで酷評されている
この実習制度の現状を改めるには、本部に80名、
地方に250名という体制では、いささか心許ないと
思えますが、円滑かつ実効性をともなった管理運営を
どのように考えていらっしゃるのか、厚生労働大臣にお尋ねします。
■人権・待遇問題の改善策
次に、人権および待遇にかかる違反の実態そして解決のための
提言をさせていただきます。
全国の労働基準監督署が
平成25年に実習実施機関2318事業所に対し監督指導を
行ったところ、約8割が安全衛生関係、労働時間、
賃金不払いなど労働関係法令違反が指摘されました。
★11)こうした実情からも、実習実施機関も届出制ではなく
管理団体同様に許可制にすべきと考えますが、
厚生労働大臣いかがでしょうか。
★12)また、人権や処遇に関して実習生から不適正事例
が申告された場合には、強制帰国や更なる不当な扱いから
守るためにも、実習先の変更など実習が継続できるよう
補償する制度を設けるべきではないでしょうか、
法務大臣にお尋ねします。
■適正賃金の確保
また、実習生に支払われる賃金も大きな問題です。
ある調査ではベトナムからの実習生が増えているなか、
実習の前後では日本に良い印象を持つ人が4割も減った
というデータが。
その大きな理由として「安い給料」が挙げられていました。
現行制度でも「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上」
とされています。
が、しかしその実態は、
「国内の人手不足を補う安価な労働力の確保策として
使われて」と提案説明でもあるように、
最低賃金レベルです。
★13)適正な評価のもとに賃金が支払われることを
担保するため、日本人労働者に支払われる賃金額を提示し、
賃金設定の客観的な説明義務を課すこと、
また日本人労働者と同等額を確保すべき、と法案で
明記してはいかがでしょうか。厚生労働大臣にお尋ねします。
■結び
結びに、
「労働は、商品にあらず」
今から71年前に採択された、
ILO・国際労働機関の基本理念「フィラデルフィア宣言」
の一説です。
それは,「労働」があたかも「商品」であるかのように,
使いたいときに使われ、切りたいとき切られ,
消耗させられていった反省があるからです。
どんな時代にも誇りと尊厳が伴わない労働には、
その職種にも、文化にも社会にも、その先に繁栄はありません。
『技能実習生は安価な労働力にあらず。』
国内外からの厳しい声をしっかり受け止め、
日本が世界の中で裸の王様に終わらないよう、
現実に目をむけ、声なき声に耳を傾けながら
審議を進めていくことを呼びかけさせて頂き、
私の質問を終わります。