○鈴木(貴)委員

それでは、通告をさせていただいた質問の方に

移らせていただきます。


まずは、サケ・マスの流し網禁止法案について

質問をさせていただきます。


これは、日本漁船も操業するロシア海域でサケ

・マス流し網漁というものはあるんですけれども、

二〇一六年からサケ・マスの流し網を禁止する、

全面禁止だ、こういった法案がロシア政府によっ

て提出をされました。そしてまた、ついこの間、

九日には、シェスタコフ漁業庁長官も、この法案

を支持するというような意向を表明されておりま

す。これが、実際にこの法案が通りますと、日本

においても経済に対しての影響というのは、これ

ははかり知れない打撃があるかと思っております。

そういった上で、日本政府のこれからの姿勢を、

二、三ただして、お聞きしたいと思っております。

今回、ロシアがなぜサケ・マス流し網禁止法案

を出したか。この背景には、環境保護だ、流し網

によって、例えば海鳥がその網に入ってしまう、

乱獲を招くおそれがある、こういったことから、

サケ・マスの資源保護の観点から、流し網を禁止

だというような話をしております。

ここで、まず事務方、参考人にお尋ねをしたい

んですけれども、この流し網が水産資源の減少、

野生動物の生態に悪影響を及ぼすという客観的な

科学的なデータというものはありますでしょうか。

○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

今現在、日本の流し網につきましては、昨年は

三十八隻ほど出漁しておりますが、ロシアの流し

網も二十隻弱ぐらいある、二十隻程度あると聞い

ております。


現在の規模で現状の操業状況におきましては、

そういった生態系への影響があるというふうには

我々としては考えておりませんし、そういった情

報は我々としてはないと考えております。

ちなみに、対象としていますサケ・マスの資源

につきましては、ロシアとの間で、全般的に良好

な状況である、こういった共通の認識があるとい

うことを申し添えておきます。

○鈴木(貴)委員 今答弁にあったように、客観

的なデータもない、そしてまた、今のところ、資

源、早急に対応すべき、そういった問題点も上が

っていない。


こういったことを受けまして、実際に、日本政

府としても何ら手だてを打っていなかったわけで

はなく、実際に、二〇一四年十一月には、APE

Cの際の日ロ首脳会談でも、安倍総理みずからプ

ーチン大統領に対し働きかけをされている。そし

てまた、一四年十二月、当時の大臣でありますが、

西川農水大臣がフョードロフ農業大臣に書簡も出

している。また、岸田大臣も、二〇一五年、こと

しの一月にシュワロフ第一副首相の方に書簡を出

されている。このように私も伺っております。

去年の十二月、そしてことしの一月と、矢継ぎ

早といいますか、相次いで出されている、こうい

ったことから、日本政府としてもそれなりの懸念

といいますか、そういった思いを持って行動をと

っていただいているものだろうと私も思っており

ますが、この書簡に対して、ロシア政府側から何

らかの反応といいますか、答えはあったのでしょ

うか。

○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

今の御質問につきましては、今御紹介あったと

おり、我々としてもさまざまな形で外務省と連携

をいたしまして、我が国の漁業者の操業機会が失

われないようにロシア側に働きかけを行ってきて

おります。


先ほど御指摘のあった西川前農林水産大臣から

の書簡、それから岸田外務大臣からの書簡につき

ましては、明確な返答はまだないというふうに我

々としては理解しております。

○鈴木(貴)委員 今、まだないということであ

りましたが、このなかったことに対して日本政府

としての働きかけはあったんでしょうか。

○岸田国務大臣 今委員から御指摘がありました

ような形で、ロシア側に対して書簡を発するなど、

働きかけを行ってきました。そして、それに対し

まして、今現在、現状においては具体的な反応は

ありません。

我が国としましては、そうした反応の確認も含

めまして、原田駐ロ大使等を通じましてフョード

ロフ農業大臣を初め関係者に引き続き接触を図り、

働きかけを続けております。こうしたルートを通

じまして、ロシア側の反応を確認していくべく、

努力は続けていきたいと考えます。