質問)平成27年2月13日提出

答弁)平成27年2月24日受領


安倍首相の中東外遊に関する再質問主意書



 安倍総理大臣は本年1月16日から中東外遊に出発し、17日にエジプトのエルシーシ大統領と、18日にヨルダンのアブドッラー二世国王と首脳会談した。翌19日にイスラエルのリヴリン大統領を表敬し、20日に行われた記者会見の直前に、テロリスト集団「イスラム国」により捕らわれた邦人二人が、同集団の兵士により殺害警告を受ける動画がインターネット上で公開された。また「前回答弁書」(内閣衆質189第20号)を踏まえ、再質問する。


質問1

「前回答弁書」(内閣衆質189第20号)では、「政府としては、湯川遥菜氏が行方不明になった事案については平成26年8月16日に、後藤健二氏が行方不明になった事案については同年11月1日にそれぞれ認知し、その直後から官邸では内閣参事官を長とする情報連絡室において、警察庁では警備局外事情報部国際テロリズム対策課長を長とする連絡室において、外務省では領事局長を長とする対策室及び在ヨルダン日本国大使館内にある在シリア日本国大使館臨時事務所に設置された臨時代理大使を長とする現地対策本部において、関係省庁が連携して情報収集、早期解放等に全力を挙げてきた。具体的な対応については、これを公表すれば、類似の事案における対応を含め、今後の対応に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。」と答弁されている。また、参議院予算委員会で、岸田外務大臣が、後藤氏の家族からの連絡を受け、後藤氏が何者かに拘束された可能性が高いと去年12月3日の時点で認識していたことや本年1月20日以前は外務省在外公館からの応援はなかったことを明らかにしている。後藤氏がイスラム国に拘束された可能性が高いことを認知した12月3日以降、政府は、右の関係省庁にどのような指示をし、どのような認識で、またどのような体制で邦人2人の救出にあたっていたのか、具体的に示されたい。

答弁

政府としては、平成26年12月3日に後藤健二氏の御家族から連絡を受け、同氏が何者かに拘束された可能性が高いことを認識した。しかし、この時点で湯川遥菜氏及び後藤健二氏がいわゆるISILに拘束された可能性は否定できないものの確定的な情報には接していなかった。両氏の事案については、情報収集に全力を挙げるとともに邦人の保護を最優先に対応するとの総理からの指示の下、外務省等の職員をトルコを含めシリアの近隣国へ出張させて情報収集等を行わせるとともに、官邸では内閣参事官を長とする情報連絡室において、警察庁では警備局外事情報部国際テロリズム対策課長を長とする連絡室において、外務省では領事局長を長とする対策室及び在ヨルダン日本国大使館内にある在シリア日本国大使館臨時事務所に設置された臨時代理大使を長とする現地対策本部において、関係省庁が連携して情報収集、早期解放等に向け最大限の努力を行った。具体的な対応については、これを公表すれば、類似の事案における対応を含め、今後の対応に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。


質問2

前回質問主意書で当方が、「1月16日からの中東訪問の目的の一つに、日本人人質2人を解放するという考えはあったのか。」と問うたところ、「前回答弁書」(内閣衆質189第20号)では、「政府としては、安倍内閣総理大臣による今回の中東訪問の時点で、湯川遥菜氏が行方不明になった事案及び後藤健二氏が行方不明になった事案を認知していた。しかし、両氏がいわゆるISILに拘束された可能性は否定できないものの確定的な情報には接していなかった。安倍内閣総理大臣による今回の中東訪問は、こうした状況も踏まえた上で行った。」と答弁されている。参議院予算員会で、岸田外務大臣は、後藤氏の家族からの連絡を受け、後藤氏が何者かに拘束された可能性が高いと去年12月3日の時点で認識していたことをおおやけにしているのに対し、閣議決定を受けた「前回答弁書」(内閣衆質189第20号)の「両氏がいわゆるISILに拘束された可能性は否定できないものの確定的な情報には接していなかった。」という答弁では、双方の答弁には整合性がない。整合性がない理由を説明されたい。

答弁

お尋ねについては、先の答弁書(平成27年2月6日内閣衆質189第20号。以下「前回答弁書」という。)5及び6についてでお答えしたとおりであり、「整合性がない」との御指摘は当たらない。


質問3

当方は、日本人人質2人の解放のために、安倍総理大臣は何か明確な目的をもって中東訪問に向かったと考えていたが、安倍総理大臣の中で解放に向けての解決策、適切な情報収集はなかったということか

答弁

お尋ねの「安倍総理大臣の中で解放に向けての解決策、適切な情報収集はなかった」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書1について及び先の答弁書(平成27年2月13日内閣衆質189第40号)2についてでお答えしたとおり、政府としては、湯川遥菜氏が行方不明になった事案については平成26年8月16日に、後藤健二氏が行方不明になった事案については同年11月1日にそれぞれ認知して以降、関係省庁が連携して情報収集、早期解放等に向け最大限の努力を行った。なお、安倍内閣総理大臣による今回の中東訪問については、前回答弁書5及び6についてでお答えしたとおりである。