質問)平成27年2月5日提出

答弁)平成27年2月13日受領


イスラム国により邦人が拘束された件に対する外務省の対応等に関する再質問主意書



 安倍総理大臣は本年1月16日から中東外遊に出発し、17日にエジプトのエルシーシ大統領と、18日にヨルダンのアブドッラー二世国王と首脳会談した。翌19日にイスラエルのリヴリン大統領を表敬し、20日に行われた記者会見の直前に、テロリスト集団「イスラム国」により捕らわれた邦人2人が、同集団の兵士により殺害警告を受ける動画がインターネット上で公開された。その後の2人は殺害されたとされる。右と「前回答弁書」(内閣衆質189第12号)を踏まえ再質問する。



質問1

湯川遥菜氏、後藤健二氏については、昨年からイスラム国に拘束されたとの報道がなされていた。右につき「前回答弁書」では、湯川氏については昨年8月16日に、後藤氏については同年11月1日にそれぞれの事案を認知し、外務本省において領事局長を長とする対策室(以下、「対策室」とする。)を設置すると同時に、在ヨルダン日本国大使館内の在シリア日本国大使館臨時事務所において現地対策本部(以下、「本部」とする。)を設置していた旨、述べられている。右の「対策室」、「本部」は、それぞれどのような活動をしていたのか、具体的な説明を求める。

答弁

湯川遥菜氏が行方不明になった事案及び後藤健二氏が行方不明になった事案を認知した直後から、在ヨルダン日本国大使館内にある在シリア日本国大使館臨時事務所に設置された臨時代理大使を長とする現地対策本部においては、近隣の在外公館とも連携し、当該事案に関する情報収集、協力要請等を行うとともに、外務本省に設置された領事局長を長とする対策室においては、関係省庁と連携し、当該現地対策本部等により収集された情報の集約及び分析並びに関係各国等への協力要請等を行った。


質問2

湯川氏と後藤氏について、それぞれすでに殺害されたとされている。「対策室」並びに「本部」として、このような事態を想定した上で、十分な緊張感を持って対応していたか。

答弁

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、最大限の努力を行った。



質問3

後藤氏の夫人に対し、イスラム国側から金銭を要求するメールが届いていたと報じられていた。右に対し「前回答弁書」では「これを公表すれば、類似の事案における対応を含め、今後の対応に支障を及ぼすおそれがある」として、答弁を避けている。右については種々報道で明らかにされているものであり、そのことについて政府の対応のあり方を述べることがなぜ支障をきたすことにつながるのか。政府の説明を求める。

答弁

お尋ねについては、これを公表すれば、テロリスト等に対して政府の具体的な対応が明らかになる等、類似の事案における対応を含め、今後の対応に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。


質問4

本年2月2日、菅官房長官は、今回の事件に関する政府の対応について、政府内で検証を行う旨述べている。検証を行うのなら、3の後藤氏への家族に対するイスラム国側のアプローチについて、政府がどのような対応をとってきたのかについても明らかにすべきではないのか。

答弁

お尋ねについては、これを公表すれば、テロリスト等に対して政府の具体的な対応が明らかになる等、類似の事案における対応を含め、今後の対応に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。


質問5

過去に発生した同様の邦人拘束事件について、「前回答弁書」で政府は、1877年の日本航空機ハイジャック事件について触れている。1999年にキルギスで日本人技師4名が拘束された事件があったと承知するが、右の事件の際、政府はどのような対応をし、解決にこぎつけたのか説明されたい。

答弁

御指摘の平成11年にキルギスで日本人技師4名が拘束された事件については、外務本省に外務事務次官を長とする緊急対策本部を、カザフスタン国兼キルギス国駐箚特命全権大使を長とする現地対策本部をキルギスのビシュケクにそれぞれ設置し、対応に当たった。衆議院議員鈴木宗男君提出1999年にキルギスで発生した日本人誘拐事件に関する質問に対する答弁書(平成22年3月9日内閣衆質174第188号)2及び3についてでお答えしたとおり、日本政府から身代金のための金銭が支払われたという事実はない。


質問6

質問5のキルギスの事案に関し、政府として身代金の類の金銭を支払った事実はないか。

答弁

御指摘の平成11年にキルギスで日本人技師4名が拘束された事件については、外務本省に外務事務次官を長とする緊急対策本部を、カザフスタン国兼キルギス国駐箚特命全権大使を長とする現地対策本部をキルギスのビシュケクにそれぞれ設置し、対応に当たった。衆議院議員鈴木宗男君提出1999年にキルギスで発生した日本人誘拐事件に関する質問に対する答弁書(平成22年3月9日内閣衆質174第188号)2及び3についてでお答えしたとおり、日本政府から身代金のための金銭が支払われたという事実はない。