[秘書投稿]



平成26年6月18日提出




《質問》

NHK経営委員が他国を揶揄する発言を行ったことに対する政府の見解に関する第三回質問主意書



 NHK経営委員を務める百田尚樹氏は、本年五月二十四日に自民党岐阜県連の定期大会に講師として出席した際、「軍隊は家に例えると、防犯用のカギであり、(軍隊を持つことは)しっかりと鍵をつけようということ」としたうえで、バヌアツ、ナウルの国名を挙げ、「家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らない」との発言(以下、「百田発言」とする。)を行ったと承知する。右と「前々回答弁書」(内閣衆質一八六第一八七号)並びに「前回答弁書」(内閣衆質一八六第二〇五号)を踏まえ、再度質問する。


一 政府として「百田発言」の内容を正確に承知しているかとの質問に対し、「前々回答弁書」では「その具体的な内容は承知していない。」との答弁がなされている。政府として、「百田発言」の正確な内容を承知し、把握する意志はあるかとの問いに対し、「前回答弁書」では「日本放送協会の経営委員会の委員が個人的に行った発言について、政府として『正確な内容を承知し、把握する』考えはない。」との答弁がなされている。NHK経営委員会委員は、「前回答弁書」で「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとされている」とあるように、そもそも国会で同意を得て選出される立場のものであり、公の役職である。その役職に就いているものが、個人的な見解とはいえ、例えば自宅内等個人的な場所で述べるのならまだしも、政府を構成する与党である自民党の会合で、他国を揶揄し、見下すような発言をしたことに対し、政府として何も確認する考えがないというのはあまりに無責任ではないのか。政府の考えを問う。


二 NHK経営委員会委員がその役職に選ばれる際に国会の同意が必要であることに鑑みても、経営委員会委員が個人的に行った発言であったとしても、それが特に我が国の名誉に関わるものであるならば、政府として「見解を述べることは差し控えたい」と第三者の立場を貫こうとすることは、あまりに無責任ではないのか。「前回答弁書」では明確な答弁がなされていないところ、再度質問する。


三 軍隊等の武力組織を有しない国々が世界においてあるか、政府として把握しているかとの質問に対し、「前回答弁書」では「百田発言」にあるバヌアツ、ナウルを含め二十六か国が挙げられている。なぜ、「前々回答弁書」において右の答弁をせず、不誠実な対応を取ったのか説明されたい。


四 バヌアツ、ナウルの国々が、三で定義づけをした「軍隊等の武力組織」を有していないのは、「百田発言」にあるように、両国の経済水準に理由があるからであるかと、政府の見解を問うたところ、「前回答弁書」では「他国の政策に関するものであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。」との答弁がなされている。その答弁の通り、これらの国々が軍隊等の武力組織を有するか否かは、それぞれの国が決める政策である。それに対して、全くの私人とは言えないNHK経営委員会委員が、「くそ貧乏」などと下品な言葉をもって揶揄する発言を行うのはやはり問題であり、政府として看過すべきものではないと考えるが、改めて問う。


五 百田氏は本年二月の東京都知事選挙において応援演説をした際にも、他の候補を「人間のクズ」等と罵る等の言動を行っている。今回の一連の発言を見ても、百田氏はNHK経営委員の任に堪え得る人物ではないと考えるが、政府としてその人事を再考する考えはあるかとの問いに対し、「前々回答弁書」では「委員相互の真摯な議論を通じて、経営委員会全体として、法の規定に従い、その役割を果たしていただくことを期待している。」との答弁がなされている。そもそも現在の会長をはじめとするNHK経営委員会は、右答弁にある「その役割」を果たしているかとの問いに対し、「前回答弁書」では「前回答弁書八については、『会長』についてお答えしたものではないが、協会の経営委員会については、経営委員会全体として、引き続き、法の規定に従い、その役割を果たしていただくことを期待している。」との答弁がなされている。当方が問うているのは、政府の「期待」ではなく、現在の経営委員会が役割を果たしているか否かという点である。右の問いに対し、誠実な答弁をされることを再度求める。


 右質問する。



《答弁》

NHK経営委員が他国を揶揄する発言を行ったことに対する政府の見解に関する第三回質問に対する答弁書


一、二及び四について


 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十六年六月六日内閣衆質一八六第一八七号。以下「前々回答弁書」という。)二及び七について及び先の答弁書(平成二十六年六月十七日内閣衆質一八六第二〇五号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおりである。


三について

 前々回答弁書三及び四についてにおいては、お尋ねの「軍隊等の武力組織」の定義が必ずしも明らかではなく、一概にお答えできなかったところ、前回答弁書五についてにおいては、お尋ねの中の「軍隊等の武力組織」に係る例示を踏まえ、お答えしたものであり、「不誠実な対応」との御指摘は当たらないと考えている。


五について

 お尋ねについては、前回答弁書九についてでお答えしたとおりである。