[秘書投稿]



平成26年6月16日提出



《質問》

いわゆる南京事件や従軍慰安婦を世界記憶遺産とすることを中国が申請した件に関する質問主意書


 中国がいわゆる南京事件や従軍慰安婦に関連した資料をユネスコの世界記憶遺産に登録すべく申請を行ったことに対し、現在政府としては、本年六月十一日に菅義偉内閣官房長官が外交ルートを通じて申請の取り下げを求めたように、中国側に対して撤回を求めるべく交渉をしていると承知する。右を踏まえ、質問する。


一 今回、中国により南京事件と従軍慰安婦問題の申請がなされた件に対する政府の見解を改めて示されたい。


二 いわゆる南京事件に対する政府の認識如何。


三 いわゆる従軍慰安婦問題に対する政府の認識如何。


四 南京事件と従軍慰安婦問題に関し、なぜ中国側がユネスコへの申請を今になって行ったのか、政府としてどのように分析しているか説明されたい。


五 前文で触れたように、政府は中国側が申請を取り下げるよう働きかけをしているが、中国政府は「日本の理不尽な申し入れは受け入れられず、申請は撤回しない」と、激しく反発していると承知する。ユネスコの政治利用、そして我が国を過度に貶める中国の行動は受け入れられないにせよ、南京事件と従軍慰安婦問題について、我が国としては、居丈高な強硬論を打つだけではない交渉が求められると考えるが、政府の考えを説明されたい。


 右質問する。



《答弁》

いわゆる南京事件や従軍慰安婦を世界記憶遺産とすることを中国が申請した件に関する質問に対する答弁書


一について

 政府としては、中国による今般の申請については、日中両国が関係改善のために努力することが必要な時期に、中国が国際連合教育科学文化機関の場を政治的に利用しようとしていると受け止めざるを得ず、極めて遺憾であると考えている。


二について


 いわゆる「南京事件」については、昭和十二年の旧日本軍による南京入城後、非戦闘員の殺害又は略奪行為があったことは否定できないと考えているが、その具体的な数については、様々な議論があることもあり、政府として断定することは困難である。


三について


 政府の基本的立場は、衆議院議員辻元清美君提出安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問に対する答弁書(平成十九年三月十六日内閣衆質一六六第一一〇号)三の2についてでお答えしたものと同じである。


四について

 御指摘の「ユネスコへの申請」に関する中国側の意図については、政府としてお答えする立場にない。


五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、中国による今般の申請については、中国側に対して引き続き抗議を行い、取り下げるよう申し入れつつ、更なる関連情報の収集に努め、適切に対応していく考えである。