《質問》

NHK経営委員が他国を揶揄する発言を行ったことに対する政府の見解に関する質問主意書

 NHK経営委員を務める百田尚樹氏は、本年五月二十四日に自民党岐阜県連の定期大会に講師として出席した際、「軍隊は家に例えると、防犯用のカギであり、(軍隊を持つことは)しっかりと鍵をつけようということ」としたうえで、バヌアツ、ナウルの国名を挙げ、「家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らない」との発言(以下、「百田発言」とする。)を行ったと承知する。右を踏まえ、質問する。


一 政府として「百田発言」の内容を正確に承知しているか。


二 「百田発言」に対する政府の見解如何。


三 政府として、世界においてどの国家が軍隊等の武力組織を有しないか把握しているか。


四 政府として、「百田発言」にあるように、バヌアツ、ナウルが軍隊等の武力組織を有しないのは、同国の経済水準に理由があると考えているか。


五 政府として、NHK経営委員という公職の立場にある者が他国を揶揄する発言を行ったことに対し、百田氏本人に真意をただす考えはあるか。


六 百田氏は自民党という個別政党の会合に出席し、「百田発言」を行っている。またその際に「自民党のみなさん、頑張って下さい」との、同党を激励するかの発言も行っていると承知するが、政府としてその詳細を把握しているか。


七 六の百田氏の発言は、不偏不党の立場を求められるNHK経営委員の発言として適切であるか。


八 百田氏は本年二月の東京都知事選挙において応援演説をした際にも、他の候補を「人間のクズ」等と罵る等の言動を行っている。今回の一連の発言を見ても、百田氏はNHK経営委員の任に堪え得る人物ではないと考えるが、政府としてその人事を再考する考えはあるか。


 右質問する。



《答弁》

NHK経営委員が他国を揶揄する発言を行ったことに対する政府の見解に関する質問に対する答弁書


一及び六について

 御指摘のような発言に関する報道があったことは承知しているが、その発言の具体的内容は承知していない。


二及び七について

 日本放送協会(以下「協会」という。)の経営委員会の委員が個人的に行った発言等について、政府として見解を述べることは差し控えたい。


三及び四について

 お尋ねの「軍隊等の武力組織」の定義が必ずしも明らかではなく、一概にお答えすることは困難であり、また、お尋ねのような事項について網羅的には把握していない。


五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘の「他国を揶揄する発言を行ったこと」について、「百田氏本人に真意をただす」考えはない。


八について

 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十六年二月二十一日内閣衆質一八六第三一号)七についてでお答えしたとおり、現在の協会の経営委員会の委員は、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号。以下「法」という。)第三十一条第一項に定められた手続に従って選任されているものと認識しており、委員相互の真摯な議論を通じて、経営委員会全体として、法の規定に従い、その役割を果たしていただくことを期待している。