《質問》

TPP交渉を巡る各種報道を誤報とした内閣審議官の記者会見等に関する質問主意書


 本年四月二十一日、政府のTPP対策本部の渋谷和久内閣審議官が「最近のTPP報道について」と題する記者会見を開いている。右について報じた、本年四月二十三日付東京新聞の記事(以下、「東京記事」とする。)を踏まえ、質問する。


一 会見で渋谷審議官が述べたことは、政府の公式見解であるか。


二 「東京記事」によると、会見において渋谷審議官は、TPP交渉を巡る各種報道について「交渉は、日本の報道とはまったく違うのが実態。何らかのカードを切っていることはない。誤報だ」と述べたとのことであるが、渋谷審議官が右の発言をしたのは事実か。


三 渋谷審議官が会見で述べた「誤報」とは、具体的にどの報道機関のどの報道を指しているのか、またそれら報道がどう事実と異なるのか、すべて詳細にあげられたい。


四 「東京記事」によると、渋谷審議官は会見で、「積み重ねられたガラス細工が、報道で壊れた。米国が不信感を強めている」と述べたとのことであるが、渋谷審議官が右の発言をしたのは事実か。


五 TPP交渉を巡る我が国の報道により、米国側が不信感を強めているという事実はあるのか。明確に説明されたい。


六 「東京記事」によると、渋谷審議官は会見で、「書くなとは言わないが、米国側がどう言ったかは、もう少し慎重に工夫をした方がいいのではないか」と述べたとのことであるが、渋谷審議官が右の発言をしたのは事実か。


七 六の渋谷審議官の発言の真意につき説明されたい。TPP交渉に関連し、米国側の発言内容について慎重に工夫をすべきとするのは、どのような意味であるのか、政府の説明を求める。


八 政府として、TPP交渉に関連して誤報をしたと政府が考える三の報道機関に対し、文書による抗議を行い、報道の訂正を求める考えでいるか。


九 八で、そのような考えがないのなら、それはなぜか。


十 「東京記事」には「『こちら特報部』が二十二日、対策本部に『誤報』の内容をあらためて聞いたところ、取材に応じた参事官は『説明できない。交渉の中身は、外に話さないという信頼関係でやっている』としか言わなかった。」と書かれている。右の取材に応じた参事官とは誰か、官職氏名を明らかにされたい。


十一 報道機関に対しては「誤報」と語気を強める一方で、何が誤報であるのかは明らかにしないのは、政府の対応として矛盾しているのではないのか。説明を求める。


 右質問する。



《答弁》

TPP交渉を巡る各種報道を誤報とした内閣審議官の記者会見等に関する質問に対する答弁書


一について

 従来から環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定に関して報道機関に対するブリーフィング等を行ってきた内閣官房TPP政府対策本部(以下「本部」という。)の幹部として、澁谷和久内閣審議官は、本年四月二十一日の報道機関に対するブリーフィング(以下「ブリーフィング」という。)において、TPP協定交渉及び当該交渉に関する最近の報道について発言した。


二、四及び六について

 ブリーフィングにおける澁谷和久内閣審議官の発言については、本部のホームページに掲載されている。


三、七から九及び十一について

 澁谷和久内閣審議官によるブリーフィングは、報道の表現振り、特に、交渉相手国の発言や交渉方針について報道を行う場合のものについては正確を期すよう報道各社に対してお願いするために行われたものである。このため、特定の報道機関又は特定の記事について具体的にお答えすること、文書による抗議を行い又は報道の訂正を求めること及び何が誤報であるかを明らかにすることは差し控えたい。


五について

 政府として、交渉相手国に関することについて明確に説明することは差し控えたい。


十について


 御指摘の記事については、本部において報道機関への対応を行っている内閣参事官が東京新聞の取材に応じた際のやり取りが記事になったものと思われる。