《質問》

法務省幹部職員による不祥事に関する質問主意書


 本年四月、法務省の幹部職員が、省内の女子トイレにカメラを仕掛け、盗撮をしていたと報じられている。報道によれば、右職員とは、仙台や横浜の各地裁等で裁判官を務めており、二〇一〇年四月より同省の大臣官房に勤務しているとのことである。右を踏まえ、質問する。


一 法務省幹部職員が盗撮を行ったというのは事実か。事実なら、その者の官職氏名を明らかにされたい。


二 一の者は逮捕され、取り調べを受けているのか。現在置かれている状況について説明されたい。


三 一の者が盗撮を行ったことに対する法務省の見解如何。


四 一の者が懲戒免職ではなく、今後法務省を退職した際、退職金は支払われるか。支払われるのなら、それは社会通念上適切であるか。


五 過去十年のうち、盗撮はじめ猥褻行為を働き、処分された法務省職員はいるか。いるのなら、当該職員が行った行為の内容、それぞれに対して下された処分の内容等、年ごとに詳細を明らかにされたい。


六 五の職員のうち、懲戒免職以外で法務省を退職した者はいるか。またその者に対し、退職金は支払われているか。


七 六で、支払われているのなら、それは社会通念上適切であるか。


 右質問する。



《答弁》

法務省幹部職員による不祥事に関する質問に対する答弁書


一、二及び四について

 近藤裕之前法務省大臣官房財産訟務管理官は、同省庁舎内の女子便所にカメラを設置して盗撮行為を行い、これに関し、在宅の被疑者として取調べを受けた上で、平成二十六年五月一日、東京簡易裁判所により、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和三十七年東京都条例第百三号)違反の罪で罰金五十万円に処するとの略式命令を受けるとともに、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項の規定による懲戒免職の処分を受けた。同人に対し、退職手当は支払われていない。


三について

 法務省の幹部職員が盗撮行為を行ったことは、法務行政に対する国民の信頼を著しく損なうものであって誠に遺憾であると考えている。


五について


 お尋ねの「盗撮はじめ猥褻行為」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、法務省においては、同省大臣官房人事課において法務省行政文書管理規則(平成二十三年秘文訓第三百八号大臣訓令)に基づき職員の懲戒処分に関する行政文書の保存期間を五年としているところ、当該行政文書に加え、同課において人事記録の記載事項等に関する政令(昭和四十一年政令第十一号)に基づき保管している人事記録により把握している、平成十六年四月以降、同省職員が、盗撮行為、痴漢行為又は公然わいせつ行為により懲戒処分を受けた事例についてお答えすると、同年は、痴漢行為を理由とする減給(二月間俸給の月額の百分の十)の処分が一件、平成十七年は、該当なし、平成十八年は、痴漢行為を理由とする停職(三月間)の処分が一件、平成十九年は、痴漢行為を理由とする減給(三月間俸給の月額の百分の十)の処分が一件、平成二十年は、盗撮行為を理由とする減給(三月間俸給の月額の百分の十)の処分が一件、痴漢行為を理由とする減給(三月間俸給の月額の百分の十)の処分が二件及び公然わいせつ行為を理由とする減給(三月間俸給の月額の百分の十)の処分が一件、平成二十一年は、盗撮行為を理由とする停職(三月間)及び停職(二月間)の処分が各一件並びに痴漢行為を理由とする停職(一月間)の処分が二件並びに減給(三月間俸給の月額の百分の十)及び減給(一月間俸給の月額の百分の二十)の処分が各一件、平成二十二年は、盗撮行為を理由とする停職(三月間)及び停職(二月間)の処分が各一件、盗撮行為等を理由とする減給(三月間俸給の月額の百分の十)の処分が一件、痴漢行為を理由とする減給(三月間俸給の月額の百分の十)の処分が一件並びに公然わいせつ行為等を理由とする免職の処分が一件、平成二十三年は、盗撮行為を理由とする停職(三月間)及び停職(一月間)の処分が各一件並びに停職(二月間)の処分が二件並びに痴漢行為を理由とする減給(三月間俸給の月額の百分の十)及び減給(一月間俸給の月額の百分の十)の処分が各一件、平成二十四年は、盗撮行為等を理由とする停職(一月間)の処分が一件並びに痴漢行為を理由とする停職(六月間)、停職(一月間)及び減給(三月間の俸給の月額の百分の十)の処分が各一件、平成二十五年は、盗撮行為を理由とする停職(三月間)、停職(二月間)及び減給(三月間俸給の月額の百分の二十)の処分が各一件、盗撮行為等を理由とする免職及び減給(三月間俸給の月額の百分の二十)の処分が各一件、痴漢行為を理由とする停職(二月間)の処分が一件並びに痴漢行為等を理由とする停職(一月間)の処分が一件並びに平成二十六年は、盗撮行為を理由とする免職、停職(三月間)及び停職(一月間)の処分が各一件存在する。


六及び七について

 

 五についてで述べた職員のうち、懲戒免職以外の理由で退職した者は二十四名であるところ、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定に基づき、このうち退職手当の全部を支給しない処分が行われた二名を除いた二十二名については退職手当が支払われているが、いずれも適正に支払われたものと考えている。